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企画部屋
理系男子は俺様ですか?(スーダン・田中眼蛇夢/みっちー様)
※はい、お相手は田中くんでございます。お題文字は「り」とさせて頂きました。(※みっちー様よりリクエストで頂戴ました、有難うございますっ!!)

※場所は主人公ちゃんのお部屋、という事で…主人公ちゃんが寮生です。
…自分の部屋感が低めでしたらごめんなさい…凹。(おいどういう事だ)

※そして主人公ちゃんご指定がございませんでしたので、勝手ながら井澤の方で数学大っ嫌い子とさせて頂いております…あああ申し訳ございません涙。(埋まって地底から出て来んな)

※容姿等等は未設定かと思われますので…どうか皆様のお力にて、可愛い子にして頂けましたら幸いです。
それでは上記をご了承頂けましたら心お優しい方々がいらっしゃいましたら…引き続きお付き合い頂けますと嬉しい限りです。(深々謝)



*****


ベクトルなんて、どう見てもただの矢印。

三次関数だって、何回見てもただのグラフ。


街でだって家でだって、こんなの1回も見たことない。



……だから解けなくたって、何にも困んないもん!!



―――


「…おなまえ、これを解いてみろ。」

『………。』



…どうして、こうなっちゃったんでしょう?


今日は一緒に、新しくできたカフェに行くはずだったのに。

デートのはずだったのに。



……ううん、本当は原因もわかってます。



彼の指が指しているのはもちろんカフェのお洒落で可愛いメニューなんかではなく、
授業と宿題以外では絶対に開かない、面白くも可愛くもない数学の教科書。



数U以降からめっきり数学の点数が落ちちゃって、赤点ギリギリになってはいたけれど、
今日返ってきた数学の小テストが特に悪かったことを、私がうっかり言っちゃったからです。


それを聞いた彼が、

「……おなまえ、予定変更だ。」

と嫌がる私を引きずって、寮の私の部屋まで強制連行を。

そして机に座らされて、家庭教師眼蛇夢先生もご降臨された、と。
……頼んではいないんですけれども。





解き始めるどころかお返事すらしない私に、彼はまた声を掛ける。

「…どうした?講義では既に終えただろう?」

的外れなことを、さも不思議そうに。

やったことがあれば解ける、って訳じゃないんですー!
それで解れば苦労してませんっ!
あんな点数も取りませんっ!!


まったく、解る人っていうのはそういうところが解らないんですね。
これは眼蛇夢くんも例外じゃないらしい。

それがますます私の気持ちをささくれさせていくことにも、全然気付いてくれないし。



すっごく楽しみにしてたのに。
ていうか、眼蛇夢くんが誘ってくれたのに。



…でもこうなってしまってはもう無理なんです。
彼の頑固さからしててこでも動かないし、私も動かせそうな口実も思い付かないし…。



あーあ、と心の中で一息ついて、それはもー渋々と。
のろのろシャーペンを動かして、おざなりに解いていく。


私がやっと動き出したのを見ても、彼の監視の目は少しも緩まない。
むしろ一字一字まで行き届いてるような気がします。


(……せっかく2人で居るのに。

せめて出掛けられなくてもいいから、数学と一緒じゃなければ良かったのにな…。)


―――


とりあえず教科書を何度も見たりしながらカリカリゴシゴシ。
自力で解いて、眼蛇夢先生に終わりました、とノートを彼の方へと寄せる。


「……おなまえ。これはどのように導いたのだ?」

私の解答を見るなり、すぐに質問が返ってきました。
さすがに眼蛇夢くんも、この答が合ってるかどうかは計算しないと解んないじゃないかと思うけど、計算をした素振はちっともなかった。

…だって腕組んだままだし。


しかも採点もなしに、解き方を聞かれているみたいで驚きました。

『えーっと、その……公式に、当てはめて?』

…みんな大体そうだよね?
という思いも込めて、そのまま書いた通りですと彼に説明する。

それこそ、さぁ公式を使ってみよう!と言わんばかりに、教科書の同じページに書かれた練習問題ですよ?
公式を使わない方がおかしいのでは…?


眼蛇夢先生は一体何をおっしゃっているのでしょう?
そう首を傾げて、真っ直ぐ先生を仰いでいれば、長ーい深ーい溜息を目の前で落とされる。

「…いいか?
数理とは解を導くまでの過程に重きを置くものだ。
その解法も解らずに至ったそれは、表層上では解として扱われるだろうが…真の解として成立しているとは言えん。
それでは幾度と重ねたところで、貴様の真の聡慧と成る事も無いしな。」

『???』

とっても真剣な面持ちで語る彼の…えーと、数理?のお話に全くついていけなくて、

がんだむせんせい、ぜんぜんわかりません。

と目に?を浮かべてカッチリフリーズ。


そのさっぱりです、と書いた私の顔を一瞥すれば噛砕いて話してくれるけど、

「……詰り、だ。
貴様は解を求める、という事の本質から解ってはおらんのだ。
故に、ただ与えられたが型を用いるに徹し、その枠を越えようという事が無い…。

…それでは応用等利かん。
ましてやそれで、どう証明をするというのだ?」

うーん、咀嚼されたお話でもまだよく飲み込めないや…というか、証明とかも大っ嫌いですー!!

確かにここら辺は証明問題でも多く出されがちなところだけど、こうやってちゃんと公式使って解けてればなんとかなるよね?

『えっ?えっ?でも証明問題って…ちゃんと正しい式で解けてるかを見る問題じゃないの?』

そう聞き返してしまえば、雄弁に眼蛇夢先生の声が揮われる。

「フハッ!!何を言う!?
…証明とは謂わばッ!己の持てる力で以って、対峙したが相手を打負かし、屈服させるが事に等しいのだぞッ!?

文字で記すも図表で示すも、立証過程の全てが己がままだ。
それにより得た戦勝はなかなか感慨深いものが有る。

…しかし難を振って来たが相手を完膚無きまでに返り討つ、それには考え得る何故の疑念が凡てを払拭しなければならんのだ。」


何故、その型を用いたのか?
その型を用いたが故に、どうなるのか?

全ての事象には序破急が存在しているがこの現世の理。
これは算定のみでは、証左の及ばんところだろう?


「……拠って、だ。
貴様は過程を何も事解しておらんから、理解にまで届かんのだ。
貴様はこの問いが何を求めているのか、求められた解が何を示すのか、考じた事は有るか?」

…どうだ?おなまえ。


存分に奔る彼の語りには圧倒されてしまったけれど、改めてそう聞かれれば…なんとなく、彼の言いたいことがわかったような、です。

確かに私は問題を解くとき…全部公式に頼っていて。
何を求められているかとか、何をすればいいのかはそっちのけで、問題文から数字だけを抜いて式に当てはめてるだけで…。

どの式を使うかとか、数字の組み合わせを変えたりはするけれど、過程とか求めた答えが何なのかとか、そんなの全然考えたこともないや…。


きっと…そういうのを理解できれば、どんな問題だってちゃんと解けるよ、ってお話…なんだと思います。


『…う、うーんと…それは、考えてない…です。』

ごめんなさい、と小さくなれば、そうだろうな、と苦笑されて。

「まぁ…兎に角だ。
何を求めているのかも解らんままでは、解けるもの解けんからな。
先ずはこの式の仕組から理解しろ。」

『うん。』



―――


眼蛇夢先生が、式の成り立ちから、何を求めるべきなのか、その結果何が解るのか、まで。
全部すごく丁寧に教えてくれて。


……本当に、家庭先生とか向いてるんじゃないかなって思える位、教えるのが上手でした。



その教えを踏まえて、何個か問題を解いてみます。



「…うむ、合っているな。」

よしよしと肯かれれば、なんだか誇らしくもなって、

『本当っ!?
なんか…ちゃんと求めるべきものを理解して解いて、しかもその答えが合ってるって自信が持てるのって、嬉しいね!』

数学はまだ好きだとは思えないけれど…
とりあえず手探りで計算して、合ってるかどうかもわからないまま答えを書いてた時より、ずっと苦手意識が減らせた気がする。

うんっ眼蛇夢くんの言う、過程の大事さがよくわかりました!




私がきちんと理解した上で解けたことを喜べば、眼蛇夢先生もそうだろう、と大変ご満悦なご様子。


だから私ももっと嬉しくなってにこにこしていれば、

「ならば…次は証明、だな。」

『うんっ!…………うん?』

眼蛇夢先生がきりりとおっしゃるので、思わずいいお返事をしてしまいましたが…、

おや?
私の中ではもうちょっと誉めてもらって、そろそろお勉強タイムは終了でしたよ?


うう、そんな…と一気に疲れが押し寄せてきて、

『…眼蛇夢先生、もう数学のお話はお腹いっぱいです…。』

頭もプスプス言っています、と机にぺたーっと顔をくっ付けて、これ以上は何もできませんのポーズでお報せです。



フル稼働だった頭に上った知恵熱を、机のひんやり感で冷ましていれば、

「フッ、そうだな…貴様も頑張っていたからな。
ここまでにして遣ろう。」

眼蛇夢先生が教科書を閉じてそう言って…ついにお勉強タイム終了です!


やった!と思いながらも、もう少しぐったり感を出しておこう、と机に頭をくっ付けたままでいれば、

「……だが、証明を修練しておくに越した事は無いだろう。
…それに、俺様も報酬が欲しいところだしな?」

眼蛇夢先生が先生らしかぬことを言ってきます。


…ん?むしろ家庭教師らしいこと、でしょうか?

でも頼んでない家庭教師なのに…眼蛇夢先生の押し売りがひどいです…。


思わず机からむくっと頭を上げて、

『え、お礼が要るのですか?』

な、何を…?と恐る恐る聞いてみれば、
そうだな…と口元に手を添えて、少しだけ考える素振りを見せる眼蛇夢くん。


そしてすぐに考えついたというように、何を求められるんだろうとびくびくしている私を目に収めてからニッと笑う彼。

「……おなまえ、貴様が俺様を想っている事を証明しろ。
もちろん俺様に得心が行くように、な?」

『っ!?えっ、それって…なん、か…。』

ぐぐっと言葉に詰まるというか、恥ずかしくて言い淀むというか…。

なんだか…眼蛇夢くんのこと、どれだけ好きか証明しなさいって問題に聞こえるんですが…?


まさかね…?ともう一度彼を見てみれば、

「……どうした?数理よりも余程緊密な問いだ、貴様も導き易いだろう?」

情け容赦の欠片もない言葉と妖しく深まる笑顔を頂くばかりです。


それを受けて心の中では、好きじゃなかったらお付き合いなんかしてませんよ!!と大絶叫している訳だけど、
それさえも言うのがちょっと恥ずかしかったりして…、

『え、え、あの、それは、ちょっと…。』

まごまごと強く反発出来ないでいれば、

「証明は相手に突く隙を与えんのが要だ。
……それだけの理を、想うが故を詰める事だな?」

先に質問していないはずの解き方を提示されてしまって。


「フッ、これを終えるまで……逃がさんぞ?おなまえ。」


私の右手を取って、シャーペンの切先を真っ白なノートの空白へと落として、
この課題から逃げられないことを私の全身に囁いてくる。


このまま、私の右手を操って…何でも書かされてしまいそうでちょっと怖くて。
でも背後から回る眼蛇夢くんの腕とか、距離の近さに不覚にもドキっとしてしまって。



なんて法外な報酬なんだろう…と思うのですが、
不思議と逆らえなくて、カリッとシャーペンを動かしてしまうんです…。


―――


…恥ずかしいので、手元は見られないように。

一字一字まで追われてはたまったものではないので、彼になるべく背中を向けて、カリカリ書いてみているのですが…。

なんにしても…上手に書けません…。



っていうかこれって、一言『好き』っていうより、ハードル高い気がします!!


そして何度も少し書き出しては消して…を繰り返してる私に、

「……おなまえ、未だか?」

『…うぅ、まだです…。』

わざと頻りにされる催促のプレッシャー…。



でもこれが終わるまで、本当にずーっと見張られていそうな感じです。

だから少し真剣に、彼が納得してくれそうな文章を、と考える。




(……眼蛇夢くんの好きなところを列挙してみる?
それともラブレターみたいな感じかな…?

好きなところ…はたくさんあるけど、でもそれって私の想いの証明になるのかな…?)


優しいところに、可愛いところに、格好良いところに…と、具体性も盛り込んで書いてみても、いまいちしっくり来なくて。

というよりも…この胸がきゅーってなる感じは、文字にしちゃうとなんだか上手く表現できないというか…
どれも違うなって思ってしまって。


きっと…想いって、無理に形にしようとするものじゃないんだと思います。



だから、



理詰めだけじゃ、説明できないのが恋や愛だと思います。

全部説明できちゃったら…ちょっと味気ない気もします。

なので、この問題は証明できません。



そうたった3行だけ、ノートに黒を乗せて。

そして心の中でだけ、書き表せない位想ってるってことです、と付け足して、
恥ずかしいから眼蛇夢くんの顔は見ずに、ばっとノートを彼に渡します。



「…む、終わったのか?」

ノートを受け取って私の解答に目を落とす彼が、その短さというか、なんというかに驚いていることだろうことは気配だけで十二分にわかります。



だけど、これ以上は証明しようがないんです!!というオーラを出して、彼の反応を待つものの…
読むのも採点も簡単なはずの解答なのに、なかなかお声が掛かりません。

…これは相当怒らせちゃった?と思って顔を上げてみれば、どうも考え込んでいるらしい眼蛇夢くん。


どうしたのかな…?と思いながらもそのまま待っていれば、やがて彼も顔を上げて、

「…それも、そうだな…。

俺様も…貴様をどれ程想っているか等、如何なる言葉を用い、どれだけ多くと記したところで…著し切れんだろうからな…。」

そう柔らかく、笑って言ってくれる。


思わぬ彼の優しい笑顔と飾らない言葉に、どうしてもちょっと照れてしまうけど…喜んでくれてるみたいで嬉しくて。

それに、これでやり直し!って言われちゃったら…もう八方塞がりだったので、嬉しさ倍増です。



納得してくれたらしい彼に、良かったと私もにこっと返せば、

なにやら急に、ニヤリと口端を上げる眼蛇夢くん。



そしてどうしてか、机との距離がだんだんと開いていきます。




「……だが、俺様は未だ報酬に値する解を受け取っておらんからな…。


…先も言ったが、立証方途は無数に在るのだ。
この問いも…完全に証明不可、という訳では無いだろう?」

でも、それが彼に引き寄せられているからだって。

気付いたのは新たに別解を求める問いが、私の左耳に落とされてから。



突然掛かった吐息に、思わず身体をびくっと揺らしてしまって…
同時に、私の右手からシャーペンが落っこちる。

『…あっ眼蛇夢くんっ…!』

シャーペンが…と拾おうとする私を、ぎゅっと強く抱き締めて制止して、

椅子に座っていたはずの身体が、すっかり彼の胸の中に収まり切ってしまえば、


「…拾得しなくて良い。

記さずとも……貴様がその身で以て、俺様に証明すれば良いのだからな。」


私がもう、書いて示すのは無理だと見抜いて、
そう甘く、多分最上級に甘い証明方法を諷示される。


『…っ、……!』


彼が求める別解の意味が解って、
恥ずかしさに小さくなるしかない私を、
確かめるようにぎゅっと抱き締め直して、



「……証明してくれるな?


……おなまえ。」



もう一度、ニッと。
熱い視線を携えて、音を立てて微笑って、宣って。


そんな彼から、どうしても目が逸らせなくなってしまえば、

前髪が掻き上げられて、コツンとおでこをくっ付けられて、

私からの別解を待つように、ゆっくり彼が唇を寄せるから、


『………この解き方は…今回だけ、だよ…?』


心臓が痛い位鳴っていることも、火照って赤みが増していく顔も。
気付かれませんようにと、渋々折れたみたいに強がりを呟いて。



静かに目を閉じれば、すぐに合わさる唇で、

彼に問いの解答を、想いを、証明するのです。


『…んっ、ん、ふ…、ぁ…っ。』







*****


おまけ。


すっかり遅くなってしまったので、駅まで送るね、と眼蛇夢くんに言ったのですが、

「…駄目だ、帰路が貴様一人になるだろう。」

心配性の眼蛇夢くんにそう諭されてしまいました。

でも少しでも長く一緒に居たいという気持ちは同じみたいで、セキュリティ万全の学校の敷地内だけ、お見送り許可が下りました。


なんといってもここは希望ヶ峰学園です。
私も住んでいる寮から正門まででも5分以上は掛かります。


その数分が終わらなければいいのにって思うのは、眼蛇夢くんだから。
…だけど、さっき散々証明したから…もうそういうことは言ってあげません。


……本当は恥ずかしくて言えないだけ、だけどね。




―楽しく雑談をしていれば、流れで明日の授業のお話に。

『あ、明日も数学あるんだ…今回も試験範囲広そうだな…。』

うー嫌だなぁ…と弱音を吐いていれば、

「…そう気負うな、先の様子ならば大丈夫だろう。
何せ、この俺様が教示して遣ったのだからな。」

そう励ましてくれて…なんだかんだ眼蛇夢くんは優しいな、と思って、

『…そうだよね、頑張る!ありがとう。』

今日のことも含めてお礼を言っておきます。


でもすぐに、

「だが…未だ証明問題は苦慮するだろうな?」

私を不安がらせるように…というより、多分さっきのことを思い出させようとしているみたいで…。

こんな風にからかってきたりもするのは…少しだけ、困ったさんです。



だけど、彼の思惑通りに、うぅと赤面してしまう私をちょっとだけ楽しめば、

「フッ…向後も解らん刻は遠慮無く言え。
また俺様が教示して遣ろう。

貴様が…理を欠いたまま実力考査へ臨めば、結果的には課外学習だ何だと、貴様との刻を喪う事にも為るだろうからな……。」

くしゃっと髪を撫でて、また優しい言葉をくれて。


…私の為、というか…これからも一緒に居たいと思ってくれてることが嬉しくて、

『…そうだね、それならまた教えてもらおうかな?』

えへへ、と甘えれば、

「ああ、そうしろ。」

眼蛇夢くんも頷いてくれるから…本当に甘えちゃおうかな、と思ったりしてしまいます。





でも、幸せな気分にほわほわ浸れる時間は、そんなに長くはなくて。





「……まぁ、もちろん教示報酬は貰うがな?」

そう言って、髪を撫でてくれていた眼蛇夢くんの手が止まって。
私も、え?と時が止まってしまう。


気付けばもう正門は目の前で、この先に行かないようにと呪文を掛けられたみたいでもあって。


私が足を止めたのを…動けないのを確認して、
私の髪を掬い取りながら、彼は言葉を織るのも再開する。



「……ああ、俺様としては成果報酬も期待したいところだな?

次巡の実力考査、愉しみにしているぞ?…おなまえ。」



名前を呼ばれると同時に、恭しく髪束に口付けられて。


また明日、だな…と。

彼のお別れの言葉と一緒に、髪束も私の肩に零れ落ちていく。


まだ動けなくて、声も出ない私に、
なぜか満足そうに微笑んでから、彼が外へと歩き出していく。






その背中が見えなくなる頃には、なんとか呪文が解けて。
固められてた身体がやっと解れて……



……もう解れ過ぎちゃって、へたっと座り込んでしまって。




しばらくしても身体に力が上手く入らなくて……特に顔が熱くてしょうがなくて。
きっと、この顔を見て笑ったんだ…と、彼の笑顔を思い出しちゃえば、
もっともっと、熱くなってきちゃって…。



『〜〜〜〜っ眼蛇夢くんの、ばか…。』



……この原因を作った彼に、こっそり恨み言を言うのでした。





おまけ・終

*****

こちら感謝企画としてまた恐縮ながら書かせて頂きました。。
お題は「田中くん」が「主人公ちゃんのお部屋」で「俺様になる」というご内容にて拝受しておりました。
みっちー様、井澤救済お題有難うございますっ!!

と、素敵なお題を頂戴致しましたというに、、、どうしてもこうもダメなんでしょうかね超長いじゃん!!壊。
井澤終わってますね、全力で終わってますね踊る屍ですね(なんてホラーだ)

ホネホネ土下座という新しいジャンルで一つお赦し頂けましたら有難き幸せです……申し訳ございません骨。(そのまま粉砕骨折しろ馬鹿め)

もう謝罪申し上げなければいけない部分が多過ぎてどうにもこうにもてんてこですが…。。。

家庭教師(自称?)田中くんの俺様度が低くて本当に申し訳ございませんでしたぁぁあ!!!バキャッ(骨折り音)

最終的にはキス魔だしね、もうお約束レベルになってきてるしね涙!!!
いやこれでも抑えた、頑張って耐えてたんですよ彼は…汗!!(おい釈明方向違うだろ。)

他にも田中くんが数学狂なだけで理系男子かどうかも怪しいし…やっぱり謝罪箇所が多過ぎるので別頁で井澤の骨まで踏み砕きたいという方々がいらっしゃいましたら、どうか是非その様にして頂けましたら幸いです。

今回も最後までお付き合頂きました皆々様、本当に、本当に有難うございました!!(感涙ッ)

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あきゅろす。
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