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企画部屋
頑張る彼氏の事情心情。後篇(スーダン・田中眼蛇夢/ゆき様)
※お相手は田中くんでございます、お題文字は「が」とさせて頂いております。(※ゆき様よりリクエスト頂戴致しました、重ねて感謝、感謝でございます!!)

※こちらは同題での前篇がございますますので…もし宜しければ、そちらからお読みと頂けますと恐悦でございます。

※そして前篇からWARNINGも引き継がせて頂いておりまして申し訳ございません。。。(晒し首×ホネホネ)

未だ覇王様はおデート中でいらっしゃいますので、やっぱりどうにもこうにもな井澤覇王様のままでいらっしゃいます。
前篇の散々さもご考慮頂きまして、再度用量用法をご確認の上、先に進まれます前に酸素ボンベをお手元にご用意頂く事を心よりお勧め申し上げます。(深々謝)

……多分、前篇と同じ位の長さ…かと思います…汗。(もっと自信持って言えないんかい)

※主人公ちゃん設定に尽きましてはもちろんフリーフリーでございますので、皆々様にて後篇も可愛い子にして頂けましたら幸いです。

※上記諸々をご確認頂きまして、ここまで来たら…引き返しなんてしないわよ…!!というチャレンジャーな皆々様がいらっしゃいましたら、後篇もお付き合いの程、宜しくお願い申し上げます。



*****


―――


ふれあい広場を後にしてからは、魔獣園が順路に倣い廻る事とした。

この順路とされるルートには、それなりの意義が存在するからな。
多種多様なる魔獣が待受けるこの地は、数歩と歩めば必ず魔獣に出くわすようにその路が組まれている。

そうして次々と現れる魔獣が姿に、彼女が歓んでくれるがまた心嬉しい限りだ。




……しかしだからこそ、この園に一歩踏入れてしまったが刻から、俺様は完全に失念していたのだ。
踏入る前は、あんなにも警戒を怠らなかったというのにだ。

この安息日を迎えた魔獣園に置いて、最も蔓延る獣が何なのかという事を。





『…えーっと…次はライオンさん、かな?』

「ああ、そのようだな……こっちだ。」

と、地図が示す先を俺様も指したのだが、
彼女はその指先を追ってはくれず…どこか気鬱な表情で俯いていく。
それが何か思い詰めているかのようにも観え……


(……そう言えばそわそわと、落着かん様子も観受けられたな……。)


「……みょうじ、どうした?」

もしや体調が悪くなってしまったのではないか…?
そう思い問うたのだが、

『あ、あのね…その……先に…ちょっと……お、御手洗い…行ってきても、いいかな…?
ちょうどそこに…おトイレ、あるから…。』

顔を赤らめた彼女にそう答えられ……いや、答えさせてしまう事となってしまった。


(…ッ厠、だったか……。)


彼女が健勝である事に越した事はない、が…己が配慮に欠けていた事を悔い、その恥入りから俺様の顔も多少と色付いていく。




……あくまでもその羞恥からだ、当たり前だろう。




『じゃ、じゃあ…後でライオンさんのところで待ち合わせでいい…?』

「…ああ、解った。待っている。」


それがたった数分だと解ってはいても、彼女を一人にさせるのは躊躇われたが……厠にまで付き添うのも、野暮というものなのだろう。

先に彼女を辱めてしまった手前、というものもあり……ここは彼女に従い、待つより他も無いか。






―そして彼女をかの百獣が王と君する獅子が前にて待つ事数十分…。




……これは流石に、遅い…な?



まさか何かあったのか…?
それともやはり、体調が芳しく無かったのだろうか…。

迎えに出た方が良いのではないかと思案した矢先、
俺様の電子魔道具(携帯電話)がその身を震わせる。


+++

田中くんごめん!
道間違えちゃったみたいで、今カンガルーさんのところに居ます。
すぐに行くから、もうちょっと待っててね。

+++


それに気付き即と開き観れば、彼女から無事の報せであった事に胸を撫で下ろす。


だがそれも束の間に、

(む、地図は俺様が持ったままだったか…。)

彼女の現在地を確認しようと、拡げたそれをみょうじに渡してやるべきだったとまた悔いる。

ここで下手に彼女を迎えに往こうと動き、行き違いになっては元も子も無い…か。
ならばと取り急ぎ、此の場に留まっている事と焦らずとも急がずとも良い旨を彼女へと送る。




…しかし今日日は、妬いて悔いてばかりだな。

彼女と共に過ごす初の安息日だというのに……情けないものだ。


………彼女が戻った後は、より彼女を愉しませるが為に総力を注ぐとしよう―。











―そうしようと、心から想い、思っていた。



『……あ、田中くん!


あの、案内して頂いてありがとうございました!』




……数分の後、俺様の前に再び戻ってくれた彼女が、



観知らぬ男と肩を並べ歩いているのを、瞳にするまでは。



―――



『……田中くん、怒ってる…?』

「………。」


彼女の問いに応えず、脚を進める。


如何にもそうだと、あからさまに子供染みた態度を取ってしまっている事を、

本来ならば、彼女と再び逢えた事を、無事であった事を、慶ぶべきなのだという事も、解ってはいるのだ。





だがその理知に反して無言を貫く俺様に、

『…さっき、たくさん待たせちゃったから…?』

彼女がその要因を数度と問うているが……どれも、遠く…掠めてすらもいない。


「………。」

……そうでは無い、と。
またも応えずに、応える。

貴様の為ならば、俺様は幾ら待たされたところで構わんのだ、そこには何一つとして苦衷は無い。





その一つも伝えておらんままに、
……どうして解ってはくれないのか等と。


彼女に八当たるは筋違いも甚だしい事なのだと、
それが全て……俺様の身勝手な、詰まらん妬心だという事も、同様に解ってはいるのだ。





それでも……それでもやはり、彼女が俺様以外の男と並び歩く姿等、観たくは無かった………。










―これで相手が級友であったなら、茶飯事とも言える観慣れた場景のはずだというのに。
学舎から一歩と踏出れば、こうも全てが赦せなくなるものなのか……。



(……いや、結局俺様には…その程度の度量しか無かったという事か…。)



……今とてそうだ。
こうして沈黙を敷き、不機嫌を圧し、彼女を憂心に暮れさせておきながら、
このまま彼女に俺様の事だけを想ってほしいとさえ想っている。





(………狂想的なまでの独占欲だな。)










……しかしこのような態度を数分と続けた為に、彼女の声が一切しなくなってしまった事に気付く。
そして伺い観た彼女の沈んだ横顔に……思わず脚が、留まる。




彼女に、こんな顔をさせたかった訳では、無いのだ。


だが彼女の浮かぬ顔に、こんな顔を彼女にさせているのは己だという事を、まざまざと想い知らされる。



……あの男と彼女が共有しただろう刻は、彼女がかの有袋獣が前からこの場まで。
多く見積ったとしても、たかだが十分程度だ。

俺様の与り知らぬ何か等、有りはしなかっただろう。


……いや、無かったはずだ。
あれば彼女が変わらぬ笑顔で以て、ここへ無事に戻ってはいないだろうからな。



それさえも、解り切っている事なのだ。


……だというのに、それでも率直に、妬いただけだ、とは言い難く。

気掛かりなそれを確かめたい想いに負け、彼女に問うてしまう。


「……みょうじ、共に居たあの男は…何だ?
何故……あやつと共に居たのだ?」

酷く不貞腐れた…怒気さえも感ぜられる声に、我ながらどこまでも稚いものだと呆れる。


そんな俺様の問い掛けでも、彼女は顔を上げ…それに細く答えてくれ、

『……え?あの人は…道が解らなくて困ってたら声を掛けてくれて、ここまで案内してくれただけだよ…?』

名前も知らないよ、という彼女の言葉にも、多少なり安堵を覚えられた。


……が、

「……そうか。

だが、そう入組んだ路でも無いからな……あの男に案内を頼む程では無かったのではないか?」



……他の男に隣を赦すな、と。

そればかりはどうにか発さず、喉元で殺しはしたのだが、


『…もしかして、あの人と一緒に来たから怒ってるの?
それって……やきもち?』

と、どうも未だ露骨だったらしく…彼女にそれを気付かれてしまう。

「…ッ……。」

その肯定し難さに、またも是非は返さず…彼女から軽く視線を逸らす。

……そうすれば、俺様の怒りの事由が知れたからなのか、みょうじの表情がふっと晴れ、

『…そうだったんだ、ごめんね。
でも少しでも早く田中くんのところに行きたかったから、もう迷子になりたくなかったの。』

俺様の元へ早く戻りたかったと、そう言ってくれる。



『……だけどそうだよね、知らない人にのこのこ付いてっちゃ駄目だよね…。』

そして……ごめんなさい、と。
今度は…済まなそうに顔を落とし謝辞を陳べてくれる。



……恐らく俺様の悋気の程までは解していないように想えるが、
彼女はあの男と居た刻でさえも、俺様を想ってくれていたのだ。



そう言ってくれる彼女の笑顔が、現下失われているのは……紛れも無く俺様が所為。


…これで、愉しませたい等と……よくも言っていたものだ。
元はと言えば、俺様が彼女を一人にしてしまったからこうなったのだ。
それを棚に上げ…彼女を責める位ならば、さっさとこの醜歪な感情等、曝し出してしまえば良かったのだ。


酷く小さな、護る価値も無い矜持を折って、

「……いや、貴様を一人にした俺様も悪かったのだ。
もう貴様から離れはしない…。

…だから二度と……他の男に付いていくような真似は…まして、肩を並べ歩くような事は……するな。」

みょうじを横目でちらと観ながら、それを口にする。


『…うん、もう付いていきません。』

すれば彼女は解った、と頷いてくれたのが、

『………でもやきもち妬いてくれたのは、ちょっと嬉しいな。』

こう、悦ばしいとまで言われては……

……抱いてしまった危機感が幾らかも拭えん上、俺様は心中穏やか、とはいかんのだが?



大体だ、何もみょうじが付いていかずとも、こうも狙われていては何時何が起こるか解らん……。


(……やはりあの刻に、理由を錬成しておけば良かったか。)




まさか、ここでまで悔いる事になろうとは。
全てに於いて……備えとは不可欠なものだという事か。




……しかし、無いものは造れば良い。

幸い、先とは異なり…現下はそれをこじ付けられる事変が後だからな?



「……まぁ解ったならば良い、が…。」

そう一言だけ落とし、
俺様の赦しを得、俺様の妬心までも知れたとすっかり上機嫌らしい彼女の左手を取る。


『……た、田中くん…?』

突然の事に戸惑いを隠せぬ彼女の声が飛んだが、

「……この魔獣園には、人間共も多いからな。
俺様から逸れ、またふらふらとされては敵わん……。」


……貴様にはリードが必要なようだ。


と、それらしい理由を錬成しては彼女の手を更にきつく握り締める。



そしてそのまま彼女の手を引き、留めていた脚をも再び進めれば、

『わ、私っ…もう迷子にならないし、ちゃんと約束も守れるよ……?』

…信用ないってこと、かな…?

等と言いながら俯くも、俺様の手を振り払おうとはしないみょうじ。



そんな彼女に、

「…フッ、俺様が貴様を信用していない、という訳では無い…。

だがそれだけ、妬かせられたからな……より離れんようにと繋いでおくに超した事は無いだろう?」

そう口端を上げ、笑みながらに返せば、



……そうだね、と軽く頬を染め…笑ってくれる彼女が、またどうしようもなく愛しい。




その想いを繋がれたこの手に全て注ぎ、やはり離してなるものかとまた繋ぎ直す。


そして今日日を彼女の最良の日にしたいと。
この地を、数多の魔獣達を、俺様との刻を、彼女に愉しんでもらえるようにと。

碧落から百獣が王の咆哮に背を押され、再度強く想うのだ。








「……そう言えばみょうじ、貴様が最も好いている魔獣を聞いていなかったな。
…どの魔獣だ?この魔獣園にも居れば良いのだが……。」

『うーん…一番好きなのはホワイトタイガーさんかなぁ…?大きくて、ふわーっとしてて、背中に乗ってみたいなぁって思っちゃうんだ。

あ、でもゾウガメさんも捨て難いな…ゾウガメさんの方がゆったりしてて安全に乗れそうだし、本とか読んでまったり出来そう……。』

「む、そうか…なかなか渋い、な……?」







*****

おまけだガオー。



やはりどうにも憤悶に苛まれ…帰路は彼女が家までと送届ける事にした。
この帰路が刻も、彼女の手を離す事は無かったが……家門が前へと立てば、この慶福も終焉を迎える事となる。



ぱ、と……繋ぐまでが経緯に反し、離れるのは甚く呆気の無いものだ…。

魔法が解ける、とは……こういう事を指すのかもしれんな、とまで想ってしまう。



俺様から離れた彼女は門戸を開き…その身を半分と滑り込ませる。
そこでくるりと俺様の方へと振返り、

『…田中くん、送ってくれてありがとう。
今日、すっごく楽しかったよ。


…あ、あと…それと、ね…。』

謝辞を述べたが後も…あの、その、と、俺様を引き留めようとしてくれてるかのように言葉を零している。



元より彼女の身が全て入り切ってしまうまで観届けるつもりだったのだが……これも可愛らしくて敵わん。



…これは彼女も、俺様と離れ難いと想ってくれているという事なのだろうか、と。
ならば、このまま少しでも永く…彼女がそこに居続けてくれないものか、と。

………きっとその先へ続く、別れの言葉が紡がれなければ良い等と。


そんな恣意がまたも脳裏に過ってしまうのを、
……流石にそれは避けられん事だ、と己を戒めていたというのに、


『……ええと、もし…もし、田中くんが心配なら……。

…これからも、いつでもリード…繋いでいいよ…?』


等と………また可愛らしい、事を…言う。




余りの事に俺様も反応一つ返せぬ内に、ぼっと染まり上がっては、

『そっそれじゃあ…おやすみなさいっ!』

口早にそう言い残し、
バタンッ!と勢い良く閉められた、扉の残り音すらも……どうにも可愛らしく。









………ああ、これはやられたと。




不意打ちの言葉に心身を斬られ、彼女にまた堕ちてしまった己を抱え、


……もうリードを繋ぐだけでは安堵を得られそうにも無いと、更なる恋慕に暮れ果てる今宵となったのだ。



(……可愛過ぎるだろう、おなまえ……。)





おまけ・終

*****

という訳で…後篇でございました。
こちらは「田中くん」が「動物園」で「嫉妬する」というお題にて書かせて頂きました次第にございます。。。

またもや大変にお待たせしてしまいましたというのに……しかもあれですね、もうこれ……田中くんじゃない、ね……(全てを悟り切りました)
主人公ちゃんゾッコン過ぎて動物愛護精神が弱い気がします……本当にごめんなさい。。。(いや、もっと根幹から終わってるよ??)

動物の可愛さ込みで、更に引き立つ主人公ちゃんの可愛さに田中くんがうっひゃー!!しまくっとるし、テーマがテーマでしたとは言え、嫉妬するにも程がありますね!!!涙。
何より作中でも言ってもらいましたら度量が無いぜこの田中くん、余裕ゼロだぜ俺様しっかりしてくれよ…!!!喚呼。(お前がしっかりしろこの駄馬が)


……あああ申し訳ございません、誠に申し訳ございません……凹。(ベッコシャー)

もはや謝罪が追い付かないレベルで本当に心苦しい限りです。。。
実は上記よりもっと問題なんじゃないん??な部分やら台詞やらもございます事と存じますが……こちらの後書ではそよ風程度とさせて頂きまして、被害を最小限とさせて頂きます為にもハリケーンはあの場所での発生予報とさせて頂けますと幸いです……。

いつもいつも、貴重かつ唯一無二なる皆々様のお時間を多分に頂戴しておりますというのに、度々稚拙な文章で大変失礼致しております。
そちらにも関わらず、最後までお付き合い頂きました皆々様、本当に本当に有難うございます。

前篇も併せてお読み下さいました皆々様がもしいらっしゃいましたら…重ねて深く、深くお礼申し上げさせて頂きますばかりです。
此の度も有難うございました…!!!(奉謝)

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