幻想
So Sweetest White day?2014〜田中くんの場合〜前篇。(スーダン・田中眼蛇夢)
※お相手は田中くんです。2014年ホワイトデー記念夢的な感じでございます。
2014年バレンタイン編を上げさせて頂いておりましたので、こちらも記念という事で井澤判断で書かせて頂きました…勝手な事を致しまして大変申し訳ございません(陳謝)
※主人公ちゃん設定等等、バレンタイン作と合わせてございますので、一応続編、の仕様を取らせて頂いております。
こちらだけお読みになられましても大丈夫かと存じますが、宜しければバレンタイン作をお先にお読み頂けましたら嬉しい限りでございます!
※上記ご了承頂きました上で…田中くんからホワイトデーされてちゃってもいいかな、と思ってくださいます方々がいらっしゃいましたら、お付き合い頂けましたら幸いです。
*****
先月のバレンタインデーにて。
すごくびっくりな事に、眼蛇夢くんからお返事をもらえて…。
いわゆるお付き合い、というものを始めて早1ヶ月が経ちました。
なんか…正直、夢みたいな、日々、です…///
隣の席、という事も重なって…毎日毎日が幸せで。
だから、
『うっひょー!!
白夜ちゃんからお返しもらえたっすよー!!』
「フン、勘違いするな。
俺は十神の人間だからな、愚民に借りを作る等…有り得んだけだ。」
唯吹ちゃん達のやりとりを見るまで、
今日がホワイトデーだって事も忘れちゃってました…。
(うーん…我ながらうっかりというか…。
でも唯吹ちゃん、お返しもらえたんだ…ホントによかった!)
これは意外と十神くんも…、かもだよね?
頑張れ、唯吹ちゃん!!
うんうん、朝から素敵な光景を見てしまいました。
でも今日は他のみんなも色々ある日、なんだろうな……。
だったら私は、先月みんなが応援してくれたのをお返しする日、だよね。
一緒に喜んだり、悲しんだりする事しかしてあげられないけど…
みんなが一人でも多く、笑顔になれますように!
そう、あくまでも今日の私は応援する立場で、どちらかというと、女子のみんなにお返しする側で…。
実際、もう眼蛇夢くんは彼氏さんだし…
あと私のあげたチョコで、ちょっと事件なんかも…あったし……///
だから正直、眼蛇夢くんからのお返しなんて…全然、全く、考えてもいませんでした。
――
『あ、眼蛇夢くん、おはよう。
今日はちょっとゆっくりだったね?』
動物達のお世話?お疲れさま、と声を掛ければ、
「…フッ、まぁそんなところだ…。
それより、だ。
おなまえ、まだ今日日の放課後は空いているのか?」
ちょっと意味深に笑ってから、そう聞かれて。
何で笑ったのかな?と気にもなったけど、
『うん!今日も何もないよ。』
すぐにそう答える。
あれから一緒に帰るようになって、予定が入ったらすぐに言うのが約束事。
私は眼蛇夢くんと帰りたいし…自分から進んで予定を入れる事は少ないけど、必ず確認してくれる。
「…良し、ならばそのまま空けておけ。
出掛けるぞ、おなまえ。」
『え…?』
今日、平日だし…どうしたんだろう?
そう思って、軽く首を傾げてみせれば、
「…何だ?よもや忘れている訳では無いだろうな?
今日日は、俺様が返す時日、だろう?」
ニッと笑って、眼蛇夢くんが、そう言って…。
…あ、もしかして……ホワイトデー、だから?
『えっと、お返し、してくれる…の?』
でも、私、大したもの……あげてないよ?
…むしろ大変なもの、だったよね…?とは言わないけれど、
なんだか悪い気がして、いいのかな…と少し戸惑っていれば、
「…どうした?何を気後れする事があるのだ?
貴様が俺様へ、俺様の為と…用意した物だったのだろう?」
ならば俺様も、貴様へと…貴様が為と返すが道理だろう。
…それとも、夜半は何か予定があったか?
そう、むしろ気遣わしげに返されてしまって。
なんていうか…眼蛇夢くんは、お付き合いをしてみたら、
なかなかこういう…普通なら恥ずかしい、ことも平気で言ってくれる人だったというか…///
しかも私の予定のことまで、気にしてくれて……。
もう、優しくて、嬉しくて、しょうがないよ。
『…っううん、本当に何もないよ!
だから…そこまで、言ってくれるなら…、楽しみにしてても…いい?』
えへへ、嬉しい、と笑顔で言えば、
「ああ、もちろんだ。」
と眼蛇夢くんが優しく笑ってくれるのに、またどうにときめいてしまいます。
(うーん……こんなに素敵な彼氏さん、他に居ないよ…///)
―――
今日の放課後は、眼蛇夢くんからのお返しで…一緒にお出掛け、です。
いつもより長く一緒に居られると思うだけでも…もう心がウキウキしてしまいます。
でも、どこに連れて行ってくれるの?と聞いても、
「…それは、参着しての愉しみ、だからな?」
そうはぐらかされて、全然教えてくれません…。
結局、帰り道でも、行き先は内緒のままに、
制服から着替えて、また駅で待ち合わせ、という事になりました。
「…五の刻に落ち合うか。
少し遠出になるからな、遅れるなよ?おなまえ。」
…だが無理はするな、何かあれば直ぐに俺様に連絡しろ。
たった1時間位、ちょっと家に戻って着替えて来るだけなのに。
眼蛇夢くんは心配性だなぁ、と思っちゃうけど、そういうところも嬉しいし…なんだかちょっと可愛くて、大好き。
『うん、解った。
また5時に駅前、だね。』
そう約束をしてから、ばいばい、と手を振って、
「…ああ、後でな。」
眼蛇夢くんが小さく手を挙げて応えてくれるのをしっかり見て、くるっと回れ右をして歩き出す。
…数m歩いたところで、なんとなく視線を感じるような気がして振り返れば、
やっぱり眼蛇夢くんが、まだこっちを見てくれている。
なんだか、こういうのも…恥ずかしいけど、妙に浮かれてしまう、というか……幸せ、だよね///
でも、寒いだろうし、眼蛇夢くんだって、準備があるだろうし、
もーいーよー!
と手を振ってみせるけど、伝わってないのか、伝わった上でまだ見てくれてるのか、眼蛇夢くんが帰る気配は全然なくて。
じゃあ早く彼の見えないところまで行かなきゃ、と歩くスピードを速めていく。
―――
ちょっとだけ服を迷っちゃったけど…でも、バッチリ予定通り、です。
ただいま4時55分。
うん、早めに着けたはず!
…と思ってたのに、眼蛇夢くんはもう駅前で待ってくれていて。
私より後に帰ったはずなのに、と思いながら謝れば、
『…眼蛇夢くんごめんね、待ったよね?』
「…いや、俺様も到着したばかりだ。
それに、まだ約束が刻より前だしな?」
気にするな、と少し白い息で答えてくれて……本当に、優しい。
優しすぎるくらい。
…今日も結局、待たせちゃったな。
思えばいっつも眼蛇夢くんが先に待ってくれてる気がする…。
それも彼の優しさだって解ってるけど、次こそは頑張ろう!と決意する。
『…ありがとう。』
「…フッ、だから良いと言っているだろう?
…それより、刻限だな。行くぞ、おなまえ?」
それでも彼がそう笑って言ってくれるから、
今日はまだ、彼の優しさに甘える事にしちゃいます…。
――
電車にガタンゴトンと揺られますこと40分。
眼蛇夢くんに連れられて降りた駅は、知らない名前。
初めて来る場所…です。
改札を出たらすぐ駅前に、
大きな大きな水色基調の建物がどっしりと構えていて。
「…おなまえ、着いたぞ。」
これを持て、と渡されたチケットには、
“ナイトアクアリウム”、の文字。
『わぁ!私、夜の水族館って初めて!』
眼蛇夢くんと水族館に来るのも初めてだね、すっごく楽しみ!
受取ったチケットを握り締めて、思わずはしゃいで答える私の髪を軽く撫でて、
「…気に入ったか?ならば良かった。
貴様は真に…返し甲斐があるな、おなまえ…。」
少し目を細めて笑ってくれる彼。
…その眼蛇夢くんが格好良すぎて、なんだか、直視、出来なくて、
『〜///あ、入場ゲートあっちみたいだよ!』
そう言って、彼より半歩先を歩いてしまいます。
(…あ、あの笑顔は、だめだと思う……!///)
――
入口に着いた頃には、なんとか楽しみというか、ワクワクというかが勝ってくれて、
一度ゲートを潜れば、すっかり、海面下の世界。
お昼よりもちょっとだけ暗く設定されてる照明が、
水槽のお水の青蒼を際立てていて…すごく、すごく、綺麗。
特に中央にある大水槽が幻想的で、早速見とれてしまう。
『わぁー……綺麗…。』
「…そうだな。」
しばらくは2人でこの空間が織り成す世界を楽しんでから、
1つ1つのお魚まで、じっくりと観ていく。
『あ、あのお魚たち、並んで一緒に泳いでる!』
可愛いね、眼蛇夢くん!
と近くのお魚たちを指して、彼の方へ振り返ったところで、
なんというか…偶然、なんだけど…
視線の先に、1組のカップルが映って…
その…口付、を、しているのが、目に入って、しまって……。
(…!!…わ、ぁ……///)
眼蛇夢くんが何か答えてくれる前に、
ぐるっと勢いよく水槽に向き直ってしまう。
こ、んな風に…目の前で、…誰かのキスシーンを見るのは、初めてだったから…
ビックリというか、ドキドキというか、で……。
なんだか急に、ここは、そういう…いわゆる恋人同士、が来るところなんだと意識して…。
そういうところに連れて来てくれてるっていうのが、彼女だと…ちゃんと思ってもらえてる、みたいで…嬉しい、けど……
(…な、なんか、すっごく、恥ずかしいような……///)
沸騰していくみたいに顔が熱くなって、
赤く染まっていくのが、水槽に映っているのを見て、また恥ずかしくなってしまう…。
(う…耳まで真っ赤になっちゃってる、どうしよう…。)
ちょっと水槽どころではなくなっている私の耳元に、
「…どうした?おなまえ…。
少し、顔が紅いな……?」
そんな眼蛇夢くんの声が落ちるだけで、ビク、と身体が大きな反応をしてしまって……。
それが、露骨に意識しちゃってるみたいだと気付いて、
『…っう、ううん!…なんでもない、よ?』
本当に、なんでもないの、と大急ぎで誤魔化せば、
「…そうか、ならば先へ行くぞ。
未だ序盤だからな?」
そう言う彼に、左手を、取られて。
…1本、1本、ゆっくりと指を絡められて…
恋人繋ぎ、の…その形、に。
(あ…う、もしかしてまた……バレちゃって、る…?)
『が、眼、蛇夢、く、ん…!///』
彼に手を引かれながらも、
ここ、室内、だし…と、もごもごと言ってみれば、
「…逸れられでもしては困るからな?」
そう言って、ニヤリとどこか楽しそうに笑う眼蛇夢くん……。
…やっぱり、お見通し、みたい…です…。
そんな彼に、まだまだ赤くさせられてしまうのがちょっと悔しくて、
(…でも、もし逸れちゃっても…眼蛇夢くんなら、すぐに見付けられるもん…。)
なんて、よく解らない反抗を心の中ではしちゃうけど、
なんだかんだで、手を繋いでもらえるのは…嬉しくて。
えいっと、ぎゅっと、私も握り返して、
さらにえいっと、眼蛇夢くんの隣に並んで、
続く次の水槽へと移っていく。
――
中盤までは、温かい海をモチーフにした水槽が中心。
カラフルで華やかなお魚達が、とっても可愛い。
『あのイソギンチャクのところに居るの、カクレクマノミ…かな?』
私も知ってるお魚かも…、と思って言ってみたのだけれど、
「…いや、酷似しているが…クラウンアネモネフィッシュの方だろう。」
…なんと、違う種類だった、みたい……!
ショック、という程ではなかったけど…そっちのお魚は全然名前も聞いた事がなくて、
そうなんだ…、と思わず呟いてしまったら、
「…どちらも同様にクマノミ属で、よく誤認される種だ。」
おなまえが取違えるのも、無理は無いな。
そうフォローまでしてくれて…。
……うー、完璧、完璧だよ、眼蛇夢くん…///
『…そっか、ありがとう。
それにしても…眼蛇夢くんはお魚も詳しいんだね!』
すごいね、尊敬しちゃうな、と思ったままに言えば、
なんだか決まりが悪そうな顔をする眼蛇夢くん。
(……あ、れ?)
褒めたつもりだったんだけど……私、なんか変な事言っちゃった…?
謝った方がいいかな…、と思っていれば、
「…まぁな、と是認したいところ、だが…。
何だ、その……俺様も、付焼刃…なの、だ。」
ゆっくり私から視線を逸らしながら言う眼蛇夢くん。
『……?』
どういうことだろう?と、逸れた彼の視線を追えば、
「……ッだから、だな…?
…その…おなまえと訪れる、が…俺様としても、待侘び、られて、だな……種種と、査察…した、のだ。」
詰り、…そう、素直に……崇重される、事では…無い…。
ちょっと顔を赤くして、左手をストールに掛けながら話してくれる眼蛇夢くん。
(……そんなの、わざわざ言わないで、そのまま格好つけちゃってもいいのに…。)
今も可愛いお魚達が、目の前の水槽をたくさんたくさん泳いでいくけれど、
…こんなに素直な眼蛇夢くんが、一番可愛いな。
『……ふふ、そうなんだ。』
「…ああ、そうだ。……笑える話だろう?」
少し自嘲気味に言う眼蛇夢くんに、全然そんな事ないよ?と伝えて、
『だって、今日の為に…色々調べてくれたんだよね?
…待ち遠しかった、って言ってくれたのも、すっごく嬉しかった。』
だから…眼蛇夢くんの事は笑わないけど…
嬉しいから、…どうしても笑顔にはなっちゃうかな。
ごめんね、と、にこっと笑顔で言えば、
「…いや……。」
おなまえ、……有難う。
そう、安心したように、柔らかく、微笑まれて…。
(あ……さっきの、だめ、な…笑顔、だ…///)
今度はすっかり、私が赤くなる、番に……。
『い、いえ、どう、いたしまし、て…///』
「貴様がそう言うのならば……査察したが真価を揮うとするか。」
何でも訊くが良い、と私と対照的に元気になってしまった眼蛇夢くんが、
私の顔の赤さを見て、笑ったような気がしたけど…
ぎゅ、っとまた強く握られる手の感触に驚く暇もなく彼に連れられて、
まだまだ館内を進んでいきます。
前篇・終
*****
…はい、なんでしょうか…全体的に申し訳ない仕様な気がしております…ごめんなさい涙。
ですが…ついに覇王様がデート当日を迎えましたよぉぉぉ!!!爆笑。(←え)
今回の井澤的見所ですね、主人公ちゃんとデートできてヨカッタネ(何故カタコト)
と、あくまでもこちらはまだ前篇ですので、具体的な後書きの類は特に記載させて頂かず、とさせて頂きますね。
十分だらだら書いてしまってますが…申し訳ございません汗。
ホワイトデー前篇、最後までお付き合い頂きまして本当に有難うございます!!
もしお気に召して頂けましたら、後篇もお読み頂けますと嬉しい限りです。
どうかどうか、よろしくお願い申し上げます。
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