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幻想
屈するまでのエト、セト、ラ。(スーダン・田中眼蛇夢)
※お相手は田中くんです。こちらも大変嬉しい事に、キリ番リクエストで頂きました!(茶紅覇様、いつも有難うございます!!)

※ずっと覇王様のターン、田中くん視点です。あと題名に句読点多くて申し訳ございません(土下座)

※リクエスト内容より、主人公ちゃんはプライド高めなツンツン、覇王様も田中と呼び捨て仕様となっております。

※主人公ちゃんの容姿設定等はございませんが、形だけの能力設定有、です…井澤事情で“超高校級の弓道部”になっております井澤事情で申し訳ないです…。

※上記の件、ご快諾頂けましたらこの度もお時間頂けますと幸いです。



*****



「おはようみょうじさん!!
今日こそぼくと2人だけで、採集という名の愛の逃避行をしないかい!?」

『…花村、朝から鬱陶しい。しつこい。すぐに消えて。』


尚も食下がる花村を歯牙にも掛けず、颯爽と目的が席まで歩むはみょうじおなまえ。


あやつは、俺様も認めるところの能力者、ではある。

“超高校級の弓道部”

彼女がそれと成る為に培った集中力が精良さ。
大概の事柄ならば、彼女が隣に並び立つも難しい。

みょうじが纏う空気は常時と張詰め、俺様でさえ只者ではないと、警戒するに至った程だ。


凛然と、歩く姿はまさに一輪の気高き百合が如し。
だが…かのように不釣合いな刺を持ち、
俺様が過去と観た下等生物が中でも、能力者たるに応じ、みょうじの気位の高さは抜きんじている。

もはやみょうじにあのように、喰らい付けるは花村しか居らんだろう。


(…連日と、本当に懲りん奴だな。)


貴様では無理だ、と諭したところでどうにもならんのだろう。
所詮は下等生物が間の事、然して気にするべくもないが…
みょうじに固執するが事由は、俺様には解し兼ねるところだ。

飽きもせずと繰り返される茶飯事が、日を追って好転する事等もちろん無く、
あしらわれるが態度も冷淡の一途を辿っていくのだからな。
何を以ってして挑むのか、その胸中を知ろうとすら思えん。


…しかし、そういえば雑種も、

「ソニアさんみたいな誰にでも優しくて上品な感じも堪らねーけど、みょうじみたいに女王様っぽいタイプも、近寄り難えーけどそれはそれで憧れるところだよな!」

…等とほざいていたな。
それでもやはり、俺様はその意見には同意し兼ねる。

ただでさえ女という生物は難解を極めている。
メス猫ならば、殊更に素直な方が良いだろう。


みょうじは、俺様が邪眼の力を用いたとしても、一つとしてその見解を得ないのだからな。


危うきに近付く事由も取り立てて無い。

拠って、俺様はみょうじから声掛けられでもしない限り、彼女と空間を共にする機会すらも持たんのだ。



――



そんな俺様が見識の中で、その機は急と唐突と。

『…田中って、いつも一人じゃない?』

何で?

と。
俺様の許可を一切と待たず、向かいへと腰を下ろすみょうじと会隅する事となる。


…結界が魔力が弱まっていたか?
そう懸念もしたが、相手がみょうじならば、気配取れなくとも不思議という程でも無い、か。


「…フン、それを聞いたところで何だというのだ?
俺様が沈黙と無関心を傍らに置こうと、たかが人間に過ぎん貴様には関係の無い話だろう。」

奴が手の内へは掛かるまいと、語気を強め撥ね帰すようにと口述すれば、

『…ふーん。』

ほんの一瞬、驚嘆したような素振りを見せたものの、
意味有り気と薄く笑っては、その本意をはぐらかすように。

…いや、彼女の気質を思えば、些か大人しい程の反応とも言えるかもしれんな。
大方、誹るか、俺様が物言いに、軽く激昂してくるかと推察されたのだが。


(…やはりどうにも、みょうじは解らん女だな…。)


何を思い問うたのか。

多少なり気に掛かるものの、それを俺様が問うてやる義理は無い。
故に、依然として解答を得ん言の葉の端々が空中を彷徨っているのだろうが、
今も俺様の向かいで、素知らぬと読書に耽る彼女を観るに、奴も回収する気は無いのだろう。



…何も、ここで読まんでも良いのではないか?

しかし何処かへ往け、と声掛けるのも、俺様が自らの境界を侵略されたと認めるようで癪だからな…。



結局と、みょうじが一遍が物語を読み終えるまで、
俺様の心中での聖戦は続いていた訳だが、


『…うん、まぁまぁだったかな。

…あれ?田中、まだ居たの?別に待っててほしいとか、頼んでないけど?』


書物へと落ちていた視線が俺様へ向いたかと思えば、
この覇王が存在を前にして、なんという驕傲な科白を吐いてくれたものか。

「…な…ッッ!?」

『…ま、いいわ。
じゃあね、田中。』

ひらひらと、手を緩やかに振るみょうじの背を送り、
その理不尽さから、一時飛び去った意識が、やっとと戻る。


…待て、貴様が、貴様の方が、俺様の眼前に座したのだろうがッ…!!
そもそも待って等おらんッ!!!

そう全力で否定してやりたかったが、彼女は一度と振り返る事も無く、すでに出口に差し掛かっており…。


いくら今後とみょうじと刻を同じくする機会が来ようとも、
奴の気位の高さ、その態度が変わる事は無い。
その事をよく知り得た出来事として、俺様の見識を深めたものと思う他も無かったのだ…。



――



もっとと謂えば、みょうじは厚意というものを凡そ好意的に受取らんらしい。


(…む、これは…みょうじの物、だったか?
…致し方無いな、届けてやろう。)


「…おい、みょうじ。
貴様のだろう?…牧場に、落ちていたぞ。」

『…えっ、何で、田中が持ってるの…!?
か、返して!!』

…そこは通常ならば、謝意を表すものではないのか?
返せ、とはまた随分な言い様だな…。
まぁ珍しくと動揺しているようではあるが…

「…誰が返さん等と言ったのだ。
俺様が持っていても仕方が無いだろう。」

そんなに動じる位ならば、初めから落さんようにしろ。

そう誡めながら、みょうじへと魔通具(携帯)を返してやる。

『…中、見た?』

受取りながらに、訝しむような目線を俺様へと注ぎ、
変わらず謝辞すらも述べないこの、姿勢。

…厭きれたものだな。


「…ああ、そもそも、電源が入っておらんかったからな。」

故意に溜息を交ぜて言放ってやったつもりだったが、

『…そう、今度からは…気を付けるわ。』

彼女には堪えんらしいな…。
ならば俺様が更にと気を掛けてやる事も無駄だろう。

「…フン、俺様の手を二度と煩わせるなよ。」

踵を返し歩き出すが、彼女の声が追って来る事も無い。

…やはりメス猫は、素直な方が幾分と可愛らしいものだろうに。



――



先日の取得物事変に於いて、
俺様は彼女が態度がどうにも解せんままだというに、


今日日はみょうじと、同採集へと赴く運びとなっている。


『…田中、足、引っ張らないでよね。』

相応の実力を兼ねるからこその、自信を伴った笑み。
それが憎らしくもみょうじらしく。
彼女は今日日も気高くある。

「…ハッ!この俺様を誰だと思っている?
むしろ貴様の方こそ、俺様と渡り合えるレベルまで達しているのかどうか、見物だな…?」

まぁ、奴の力は俺様も認めるところではあるが…
所詮は只の人間にしてメス猫、身の程知らずにも俺様へ挑むというのならば、返り討ちにしてくれるまで…。



――



終わってみれば、圧倒的かつ絶対的なまでに、俺様が快勝だった。

…どこか、不自然過ぎる程に。

『…調子悪い、ってこういう事を言うのね。』

「…貴様、本当に…それだけ、か?」

『…何深読みしてるの?
私が手を抜いた、とか言うつもり?それで私に何の得もないのに?』

その疑義こそが不快だと、訴えるような態度が権高さ。
そこに虚偽は…無い。

まぁ、確かに正論と言えば、正論だからな。



しかしどうにも残るのは、違和感…だろうか。

先はあのような大口を叩いたというに、この結果なのだ。
彼女の矜持が傷付いたとしても可笑しくはないようにも推い得る、が…。

刻を共にすれば益々と、
みょうじが何を考えているのか、解らんばかりだな…。



――



…その日が、宵。

どうにも睡れん心地を憶え、夜時間は疾うに過ぎてはいたが、コテージから闇夜に染まる地へと繰り出していく。

夜風と戯れるべくと漫歩けば程無くして、


…俺様が可視化に、人影が、揺れる。


(…む?何奴…!?)


咄嗟と敵が急襲に備えるが、
距離を詰めれば視界もクリアに澄んでいくというものだ。


「……む?みょうじ、か…?」

誰そ彼と、確かめようと声を発したのだが、

『……ッ…。』

人影が応えず、逃げて往く。

「な、待て…ッ!!」


半ば反射的にその人影を追っていけば、
向かう先はやはり、みょうじがコテージ。

「…何故逃げるッ!?みょうじッ!!」

扉へと手を掛けた彼女に追い着き名を呼べば、
バラと、抱えた何かを落し、慌てて拾い上げる彼女。


…転がるそれを、先にと手にすれば、

「……包、帯…?」

『…あ、返してっ…!』

取り替えそうと伸ばされた手は避け躱し、
彼女が抱え続ける正体を、射て観取る。


包帯、湿布薬にテーピング…。


…そういう、事か。


「…みょうじ、中へ入れ。」

『…は!?な、何で…?』

治療具を抱えたままの彼女が、キっと睨むが、
その有様すらも、今は只…腹立たしい。

「…処置してやる。…入れ。」

大人しく従えと、威圧すればしぶしぶと。

どちらにせよ、背後は俺様に塞がれている為、みょうじにはコテージに入るより他にも無い事に気付いたらしく、鍵をそろりと回していく。



――



騒ぎ立てるみょうじも流石と限界だったのか。
それとも俺様のこの苛立ちを、流石と解し取ったのか。

寝具へと腰掛させる頃には閉口し、
少し引き摺るようにしていた右脚へ手を掛けたものの、制止の声が降る事は無かった。





…それ観た事か。

やはり女は、素直であるに越した事は無い。



一体何時から耐えていたのか。

こんなにも、足を極致までと腫らしながら、尚も一声も上げず意地を通す等、女のする事ではない。


こやつの態度は…やはり少し可笑しい。
それも特に俺様に対しては、それが顕著なように感じられる。

他の人間共にはもう少しばかり素直なもので、こちらが何かと言葉を発さずとも、礼や謝辞は先んじて述べているように思う。


そこも…無性と、気に入らん。

「…何故、このような状態になるまで、放っておいたのだ…?」

『…。』

…まぁ、問うたところで早々に答えるとも思えんかったが。

「…何故、直ぐと俺様に、言わなかった?」

『……。』

再度と問い掛けたところで、固く口を閉ざしたままのみょうじ。

…だがここまで酷い有様となっているのだ、事由が無い訳もあるまい…。

彼女の頑固さに聊か呆れ返るが…またこの様な無茶をされては適わんからな、その事由を詰める事は必定だろう。

ならば、と。
処置を急く手は止めず、故意にそれに没頭しているがように、彼女から目線を外し、患部を注視する。


「…何か、俺様には言えん事情、か?」

『………。』

尚も彼女は、口開かない。

やはり俺様には、言えんというのか。
俺様に、は。

それさえも、酷く、酷く、俺様の感へと障っていく。



依然として彼女は観ず、手当をしてやるにしては、荒粗と。
みょうじの細い脚を掴む力を上げ、患部へと氷水袋を強く中てては痛みを誘い、俺様の憤激を知らしめるようにすれば、

『…っつ…。』

涼やかな顔をややと歪める彼女が、俺様へと鋭利な視線を落とすのを感じる。

その尖る視線をも越え、憤慨を孕ませ睨み透かせば、
表情を弱らせ、軽く…折れる。

『…っだって…言ったら、田中…すぐに連れ戻した、でしょ…?』

「…愚問だな、当たり前だろう。」

『…だから言いたく、なかったのよ…。』

…唇を、噛み締めるように絞り出される彼女の声は、
どこか震え、常時よりも遥かと弱々しい。


少しと項垂れ、弱る彼女の様子。
その姿に…多少愕きこそするものの、
…本題はそこでは、無い。

止まる彼女の言葉の先を急かすように、更にと患部を触診していく。


『ん、っつ…!』

「…それで、何故…だ?」


痛い、と。
小さく呻くように、やっとと洩れ零された彼女の訴えさえも取り合わず、
只、触れる右手が力を増大させていく。


それに合わせ、みょうじがどんどんと、
威勢を欠いて、しおらしくなっていく事をしかと感じ取っていれば、

『…っだから!帰りたく、なかったの…。』

彼女が痛みに耐え兼ね、遂にと…堕ちる。




『…田中と、せっかく、同じ…採集だった、のに…。』

せっかく、一緒に、居られる…のに、帰ったら、勿体ない、から…。



…相変わらず、苦々と、憎々と、感情を込め紡がれたその事由。
重き蓋に護られていたそれを開けてみれば、
…意外にも、その中心は俺様だというのか。



彼女の右足首を手取り、片膝を折り立って、
傅くような俺様と彼女の立場が、途端と逆転していくように。

どれを以ての赤面かは量れんところだが、薄らと涙を浮かべながらに顔を紅くする彼女を観れば…


それも、全て、一つに繋げるのは容易い。



「……面白い、な。
詰まり貴様は…俺様と共に居る刻を少しでも永らえたいが為に、このような激痛にまで、耐え抜いたというのか…。

なかなかに出来る事ではないと思うが…それだけ、俺様を想っている、という事か?」

『…なっ!ば、ばか…じゃないの…っ…。』

そう呟きながら、顔を逸らす様すらもどこか余裕無く。
常と凛然と高くあった彼女が、こうも赤々しく動じてくれるとは。



…ある種、最も解り易いメス猫だったのか。

こうしてみれば…思い返される天邪鬼すら、可愛らしいというか、何というか…だな。


「…そうか、…しかし否定は、しないのだな…?」

『…っっ…!!』

「…沈黙は、肯定と見做すが…?」

態と、その隅を突き。
彼女が自尊心を、全てと折れさすように。
逸らされた彼女自身を引き戻すように、患部へ添えた手に再度と力を入れていけば、

『…ん、い…た…っ!

わ…解った、から、認める…から…放し、て…。』

…瞳に涙を浪と浮かべて、お願い、と懇願する彼女。

痛みに屈した彼女は…
只の一人の従順素直な女へと姿を変えてみせる。


「…そうか、認める…のだな?

…だが、それでは未だ…だな。
俺様が心的を得たいならば、それ相応に、貴様が情愛を示してもらいたいものだな…?」

『…え、だってっ…私の、気持ち…解った、んでしょ?な、ら…別にっ…!!』

未だ残っていたらしい矜持で口答えるものだから、痛みという弱みに更にと付入る。


まさに悪魔が蛮行に近いようにも思われるが…
あの彼女が完全に俺様へ堕ちるというならば、その顔を持つも良いだろう。



そう憶断し、
じわりと、埋め込むかのように、
またと右手が力を込めていく。


『…っつ…う、…。』


(…あと、もう少し…だな…。)


腫れの弾力を、彼女の肌を、その華車を、感じ取りながら。
ぐ、ぐ、と。



…そして彼女の瞳が万遍なくと濡れそぼれば、


『…い、った…も、う、解った、から……。

…んっ。』


僅かばかりの刻を経て、
ほんの一瞬、頬へと押し付けられた、
彼女の唇が感触を知る。




…ああ、なるほど、な。

堕とし甲斐に、この屈服、占有感。

花村が固執する事由は、これだったのか、と。



…慣れぬ彼女が口付のたどたどしさまでもが、
常時の彼女の毅然とした態度と相俟って。

何倍にも甘く、感付けてくれるのだから面白いものだな…。


「…みょうじ、未だだ。
未だ俺様には届かんな…貴様の矢、その程度、か?

そもそも的が外れているように思えるのだが…超高校級の弓道部が、聞いて呆れるな…?」

再度と、彼女に口付を、然るべき場所へと促して。

『…!!…っえ……む…無理…!
…絶対に、無理っ…!!』



無理、か。

あのみょうじが、此処まで弱音を吐いている。


動揺に完全と潤み滲んだ瞳も、耳まで染めるその表情も、
躊躇われるというその羞恥までも。
全て俺様の前でだけ、か…。



ああ、これはどうやら…俺様も、射抜かれた、らしい。


『…何で…笑って、るの…?

……んっ!ふっ…ぁ…。』



そう思えば、すっかり恥らうばかりの彼女を待ち切れず。
重ねれば重ねる程に素直となる彼女をまた幾度と待てず。


『んぁ…はぁ、ちょ…んっ!…まっ…。』

次に、彼女から重ねてくれたが刻を最後、と。

そう心中にて決めたものの、それを待つ事なく降らせてしまう口付は、
その刻を拒むからなのか、
彼女がどんどんと愛らしくなる所為なのか、
未だ観ぬ彼女を観たいからなのか。


『ふ、ぁ…ゆるしっ…んっ…ん…ぁ…。』


口付る度に、蕩け、表情を変え、挙句謝辞まで述べていく彼女。

そんなにも異なる顔を持っているのならば、全て観せてもらいたいものだ、とまた口付けて。



…これでは、延々と終わりが観えんではないか、と。

己でも呆れ返る心地までしていくが…


そう、俺様はまだまだ彼女が解らんのだから…それも詮無き事なのだ。








*****


おまけ。



『…なんか、流された…けど…。

田中って…私の事、その……す…き、なの…?』

手近にあった枕を抱えて顔を隠しながら、先の余韻か、幾分か素直なみょうじが問う。

「…ああ、そうだが?
そうでなければ…流石に口付等しないだろう。」

まぁ…堕ちたは今宵の事なのだが。

『…そ、っか…。』

しかしそれでも、枕を抱えるが両手の力を強めては、

…良かった、と。

こっそり笑み溢す彼女が可愛らしく…
その仕草一つでも、やはり堕ちてしまった事を痛感する。


…この俺様が、こうも堕とされてしまうとはな。

ならば彼女も更に深くと俺様に堕ちてもらうまで。
彼女が素直な内に、俺様も問うておくとするか。


「……みょうじ、何時だ?

何時から、俺様を想っていた?」

『え、な…なんで…そ、んな…事っ…。』

…言わない、と。
枕で完全に顔を隠された訳だが…まぁ、許してやるつもりは無い。

「…先日の魔通具(携帯)の刻は、未だだったのか?
何せ、随分な態度を取られたからな…?
とても俺様に好意が有るとは思えんかったが…?」

『う、あ、あれは…違う。

あれは…本当に、恥ずかしかった、の。
その…私の、携帯…待受が、ひよこの、写真だから…。』

…でも、私に小動物とか、あんまり、似合わないし…。
だから田中は関係ない、と言い切る彼女に得心が行く。

「…ああ、貴様が度々と牧場に訪れていたのは、雛に会うが為、だったのか…。」

『…き、気付いてたの!?』

「まぁ、俺様の方が大体先に赴いていたからな。」

う、ひよこ達に会いたくて頭一杯だったから…全然気付かなかった。

そうぼそぼそ悔しがっているらしい彼女だが…。


…論点が、ズレた、な。


「…ならば、何時、だ?」

『…何、が?』

「…恍けたところで何にもならんぞ。

何時、堕ちた?」

『え、そ…れ…だけは…本当に……無理。』

鉄壁と防護としているつもりらしいそれを、
容赦する事無く奪い取り、後方へと投げ捨てる。


「身を隠す場も、無くなったようだな?

…もう逃れられんぞ?」


落下した音を確認し、そう笑ってやれば、
彼女の表情が青く下がり、
パキリと折れる音が響いていくのだ。





―聴けば、あの向かい座してきた日だと言う。


『…私、別に、一人が好きな訳じゃないけど…そう思われがち、だから…。
田中は…寂しくないのかな、って…。

でも一人でも、気にしてないみたいで、羨ましかった、というか…。


…それに、ああやって、強く、言われた事とかもあんまり…なかった、から…。』

なんか…気に、なって。

と、全く瞳を合わそうとしないみょうじに、

「…ほう、貴様は高圧的な物言いの方が良かったのか…。

…これは良い事を聴いたな、今後を愉しみにしておくが良い。」

そう含み落としてやれば、みるみると染まっていく。



…これでまた一段と、俺様に堕ちただろうか、と。
俺様が前でだけは、這い上がれぬ程に、深く。


そしてこれからも、堕ち続けてしまえば良いと。
今後を想い、ほくそ笑んでしまうのだ。





おまけ・終


*****


大変、大変お待たせ致しまして申し訳ございませんでしたぁぁぁぁ!!!!!(謝罪×謝罪×土下座)
そして今回もドイヒーうっへーなお話過ぎてどうにもなりません本当に申し訳ございません殴ってください是非(殴られ待機)

実は裏事情がある強要シーンが茶紅覇様の作品が嬉し過ぎた井澤の暴走だという事は伏せておこうと思います(バレバレですが、気になられました方は是非リンクまで!)

主人公ちゃんのツン具合が井澤にはツンれてるのか解りません…最終的に超絶デレて申し訳ございません…伏線回収する為とはいえバカップルが過ぎるかもしれません…もう謝り切れませんね申し訳ないです…凹。。

いや田中くん相手ならデレてもきっと仕方がないよね、という事で一つ許して頂きたく…(無理だろ)

そして最後に1点だけ…!

捻挫を無闇に触ってはいけません。
覇王様の処置は間違っています…!!(うん、みんな解ってる)

どうか皆様お怪我の際はお大事になさってくださいね。
これだけ、これだけは申し上げておきたかったので…長々と申し訳ございませんでした。

改めましてこの度も最後までお付き合い頂きまして、本当に有難うございました!!

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