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幻想
あわてんぼうさんにも福来たる?(スーダン・田中眼蛇夢+左右田和一)
※お相手は田中くんです(若干左右田くんが出張ってるので表題に名前を入れてみました。)

※こちらも大変大変恐縮な事に、キリ番リクエストにて頂きました!(弥生様、リクエスト頂きまして有難うございます!!)

※題名がまたもや終わってて言葉もございません申し訳ございません(涙)
どうにもこうにもなのでちょっと修正させて頂きました…色々重ねて本当に申し訳ございません(土下座)

※主人公ちゃん設定皆無、アイランドモードでございますので、もしお時間ございましたらお付き合い頂けますと幸いです。



*****



その光景は、別に珍しいものでもなくて。
青春の、1ページってやつなのかな。


それでも、私には、すっごく眩しい。


『田中さん!ひまわりの種をお持ちしましたので、四天王さんたちのご飯、ご一緒させてください!』

「フン、良いだろう…。
今日日は我が破壊神暗黒四天王達も機嫌が良いからな。
貴様が供物と謂えど食むだろう…。
…ハッ!せいぜい四天王が贄として、献し捧ぐが良いわッッ!!」

『わぁ、ありがとうございます!』


離れた席から遠巻きに眺める2人は、フハハうふふといつも通りに楽しそう。




…毎日でも、話し掛けられるソニアちゃんが羨ましいな。
笑顔も上から目線も受けられて、一緒に居られて。



…でも何だろうな、どっかでは解っちゃってるんだよね。


同じ女子から見ても、ソニアちゃんはすっごく可愛い。
声も可愛いし、いい匂いするし。


それで王女で金髪美女ですよ?

しかもいい匂いだし。




こんな子に話し掛けられて…放っておける男子なんて、居ないでしょう!





…そういうシビアな現実が、解ってるから余計に辛ったりもする今日この頃なのですが。



(…だけど、ソニアちゃんが相手じゃ、勝ち目ないよね…。)


頬杖を付いてぼんやりと、
楽しそうな田中くんをコッソリ眺める。


別に私に向けられた笑顔じゃないんだけど、やっぱり笑ってると嬉しいな。


それにしても、掌にチャンPちゃんを乗せて、微笑んでいるソニアちゃんのなんて可愛いこと!
そりゃ田中くんも笑顔になっちゃうよね。


(…あれはもう天使だね、天使は今ここに居ますね。

ああでも、田中くんの中では闇の聖母、だっけ。)


マリア、マリアかぁ…それも似合ってるよね…。


「…なぁ。なぁ、オイ、みょうじ!俺の話、聞いてねえだろ!?」

向かいで今日もぎゃあぎゃあ騒がしいのは、私の悪友?戦友?、な左右田くん。

ちょうど修学旅行が半分を過ぎたところで、十神くんが開いてくれた第2回目の親睦パーティ。
そこでうっかり田中くんが気になると、同じくソニアちゃんが気になる彼に口を滑らしてしまってから、毎日こうして集まるようになっているのです。


『あ、ごめんね、聞いてなかった。何の話だったの?』

「ほれ見ろ!!みょうじはすぐ意識飛ぶよな!
だから、今日もソニアさんは最っ高に天使だっつー話だよ!!」

『うわー…全然聞いてなかったのに左右田くんと思考が被っちゃったー。』

ないなー、と頭を大袈裟に振って、嫌がって見せれば、

「っだああああ!!嫌なのかよ!?俺と同じ思考じゃ嫌なのかよ!?」

それはもう良い反応をしてくれるので、
ごめんごめん、と思わず笑ってしまう。


いじけるだけいじける左右田くんをなんとか宥めれば、

「…つーかよぉ、みょうじは俺達が毎日こうして集まってる意味、解ってんのか?」

キリリと真剣な表情を作る左右田くん。

まぁ、考えてる事は大概しょうもないんだけど…
これは、私も一応解ってます。

『解ってるよー?片想いシスターズとして、日々研究と対策を練ってるんだよね。』

まぁ実際は、こうして毎日不毛な時間を過ごしてるばっかりだけどね。

「だろ!?けどそれらしい対策の1つも出てねえじゃねえか!!もっと話し合おうぜ、俺がどうしたらソニアさんと仲良くなれるかとかさ!!

てか、なんでシスターズなんだよ!?
そういやみょうじの誕生日知らねえけど、俺6月29日だぜ!?かなりの確立で俺のが早いだろ!!なんでみょうじ
が上だって決まってんだよ!?」

『あー…そこ気にしちゃった?
んーなんとなく左右田くんがお兄ちゃん、って嫌なぁって…弟ならまだ許せるというか…。』

そんなムキにならなくても、と少し呆れながら返して、ソニアちゃん対策のお話をスルーする。

…まぁ、左右田くんだからね、具体案とか、難しいからね。

「いやいやいや!そういう事じゃねえだろ、大体兄弟ってもんはもともと選べねえじゃねえか!!
てかなんなんだよ、みょうじはそんなに俺が嫌いなのかよ!?さっきからけっこー酷え事言ってっからな!?」

どんどん涙目になっていく左右田くんが流石に可哀想になってきたので、

『いや嫌いじゃないよ?嫌いだったら毎日こうして一緒に居ないし…。
田中くんの事だって、応援してくれるし、感謝だってしてるよ?

…あ、そうだ。
じゃあ明日、29日だし…2ヶ月遅れだけど、左右田くんのお誕生日会、しようよ。』

彼を元気付けるべく、ね?明日は左右田くんデーだよ!と明るく言えば、

ズズっとお鼻をすすりながら、

「…ホントか?
…なんか、高校生にもなって誕生会とか…ちょっと恥ずかしいけどよ、なんだかんだ、俺の話だって聞いてくれるし、みょうじはいいヤツだよな…。
なんで田中なのかだけが、マジで不思議だぜ…。」

意外に喜んでもらえたみたいで、良かった。


まぁ…最後はちょっと、答えに困るところなんだけど…。

『…あはは、それは私も解んない、かな。』

数々相談はしてきたけれど、好きな理由は恥ずかしいというか、左右田くんにもどうにも濁してしまう。


…本当は、
あの時だ!っていう、落ちた瞬間の自覚はないけれど、
すごく優しいし、すごく真面目だし、人嫌いな設定みたいだけれど、誰よりみんなの事を考えてくれてると、思う。

それに、その人の笑顔が見たいとか、笑っててほしいと思うという事は、もう恋なんでしょう。



そしてまた一段と、彼を好きだな、と思うのだけど、


『…んー気付いたら好きになっちゃってる事の方が、多いんじゃないんですかね?』

「そうかぁ?俺なんかもう、ソニアさんを見た瞬間にさ、こう、入ったんだよスイッチが!!!」

まさにエンジン全開!って感じの左右田くん。

『うん、一目惚れだね、解り易くていいね。』

「…なんっか妙に引っ掛かる言い方だな?」

『そんな事ないよ?
…でもそのソニアちゃんは田中くんとよく一緒に居る、と。』

ふふ、と。
どうしても彼がからかい易くて調子に乗れば、

「…わざとか?わざとなのか?みょうじ?
…言っとくけどな、それ同時に田中もソニアさんと居るって事なんだからな!?」

『…わ、解ってる、もん…。』

しっかり、しっぺ返しをもらう訳で…。

「うっわ、いきなり凹むんじゃねえよ!完全に俺が悪ぃみたいじゃねえか!!」

『…別に、左右田くんのせいじゃないし、本当の事、だし…。』

解ってる、と思えば余計に涙ぐんでしまって、

「だあああああ!!!!悪かった、俺が悪かった、悪かったから泣くなマジで頼む!!!

あ、そうだよ、明日祝ってくれるんだろ!?その話しようぜ!!
とりあえず…なんだ、俺は待ってりゃいいのか!?」

困らせちゃったりするけど、左右田くんも結構優しいし、ソニアちゃんとの仲を応援してるのも本当。


話し易いし、一緒に居れば楽しいし。
だからなんだかんだで、お喋りするだけで終わっちゃうも多かったりするけどね。


(…うーん、こうしてる間に少しでも、田中くんと話せる勇気があれば、良かったのかな…?

でも…やっぱり、緊張、するし…ソニアちゃんと居る時は…どうしても、な…。)



…とりあえず、今は落ち込んでる場合じゃないよね。
明日のお誕生日会も、私が言ったんだし。

プレゼント…どうしようかなぁ、ネジとかでいいかなぁ…。

でも、感謝してるのは本当だし…
ちょっと辛いところだけど…ソニアちゃんにも少し、協力してもらおうかな…。



―――



…此処しばらく、と。
以前にも益して、みょうじは左右田と行動を共にしている。


昨午も、正に現下も、向い座しては愉しそうに。


左右田と居る時のみょうじは…本当に、よく、笑っている。

あんなにも、多くと笑う奴だったのか、と。
遼遠と伺い視るその刻々も、恒と笑っているように思う。

俺様へと、みょうじがあのように笑顔咲く事は、少なく。
むしろ俺様が見遣れば、どこか怯えるかのように、俯き視線を外される事の方が優っているのではないだろうか。


…いや、只の人間風情ならば、覇王たる俺様を眼前にすれば、怖じ恐れるのも無理も無い話なのだがな…?


まぁ、何だ…みょうじに限っては…、それでは少々…工合が、悪いのだ…。



再び彼女を視るまでもなく、笑声が発ち届いては、
俺様のマインドまでを、揺さ振っていく。


…やはり、みょうじは、
左右田に…好意を、寄せているのだろうか。



…それならば、と。
取立てて彼女が清福を、壊すつもりは…無い。



…だが、

だがしかし、

しかし何故、


何故…左右田なのだ?


日向のような、俺様でも一つと瞳を置く者ならまだしも、だ。

力も何も持たぬ凡夫、いや塵にも満たぬ矮小な存在にして、存在するだけで最禍たる害悪が根源…

…その左右田、だぞ?


貴様達に…、

…貴様等に、この禍難が解るかッ!!??


ましてやあの笑顔の鉾先が奴に在るというのだ…
煮え亙る憤怒も殊更、極点も近いというものだッッ!!!



いや恐らく、みょうじは…奴が舌先の術中に嵌まっているだけなのだろう。

…そうとでも思い做さんと、即刻と、瞬時に、奴を消し炭にしてしまいそうだからな…。



『田中さん、今日も四天王さん達のご飯、ご一緒させて頂いてもよろしいですか?』

「む…闇の聖母、か…。
フン、許可してやっても良い、が…今日日も贄はあるのだろうな?」

『はい、ここに。』

と、差し出されたる我が四天王達が贄を確認し、食饌を許してやる。



…実を謂えば、闇の聖母がこうして連日と、
贄を持寄るが事に、多少なり助かる心地が有る。

徒に、何と無しに、この場に存え留まるというのは…どうも不自然だからな。

奴が齎す刻が加われば、俺様も永くとみょうじが笑顔に視遇えるというもの…。


(…まぁ、それが…俺様に向けられたものでは無い、というのが…何とも苦味渡るところだがな…。)


それでも、そのような浅慮等、軽と振り払われてしまう程、
彼女が笑っているならば、それだけで心嬉しいものなのだ。



しかし…

しかし、だ…。

同時と俺様が視界に映り込む左右田は、やはりどうにも赦し難いな…ッ!!

救いようも無い、とは正にこの事だ。
いや救ってやるつもり等、端から無いのだが。


何も俺様は…みょうじを諦念している訳ではないのだ。
奴がみょうじに害を為さんのならば、と見逃しているだけの事。


…そもそも、みょうじは真に左右田に好意を抱いているのか。

それを確かめんとする為の一歩、がどうにも躊躇われていたが…
この常灼たる地での日次も、終尾が迫っているからな…そろそろ詮述を撰んでもいられん、か。


「…ソニアよ、付かん事を問うが…。
…みょうじとは、親しい、のか?」

僅かと、隣に座す闇の聖母を、視れば、

『みょうじさんですか?モチのロンです!
今朝も、お話いたしましたよ?
なんでも、今日は左右田さんのお誕生日を祝われるそうです。』

至極にこやかな口調から紡がれるは、何とも言えん程の、奇禍。


な、んだと…?
…何時の間に、そのような事になっておるのだッ!?

い、いや…だからと謂ってみょうじが左右田を想っているという話でも無いのだろうが…


ちらりとみょうじが座していたが処を見遣れば、確かに姿が無く…。
どうにも、気に掛かる、な…。


「…待て、何故みょうじが左右田の生誕を祝ってやる必要があるのだ?
そもそも、奴の生誕日は今日日では無かったはずだが…?」

兎に角、仔細を探るが先番と、再び闇の聖母に問う。

『すみません、わたくしもそこまで詳しい事情はわからないのです。
ただ、お誕生日会は3時からで、わたくしにも手伝ってほしいからと、2時半にみょうじさんとお約束はしているのですが…。』

「…そうか。」


…ならば、とりあえず二人きり、では無いという事か?

だが、高々一刻(30分)程度の拵えでは出来る事も限られるだろう。
詰まり、大方の準備はみょうじがしている、という事になる…。

…それでは、みょうじが左右田の為に、多くを費やしている事に変わりは無い。


やはり、そう…なのか…?


『…そういえば、みょうじさんがおっしゃっていました事で、わたくしも気になる事があるのです。』

はたと、闇の聖母が謂う。

「…何だ?」

俺様としても、一つでも克くと情報を得たいところだからな。

『はい、実は…みょうじさんが、プレゼントはワタシなる物だとおっしゃっていたのですが…ワタシ、という物はどういう物なのでしょうか?』


…フッ、フハハハハ…!!

何を…何を謂っているのだ、こやつは…?

俺様の幻聴、か…?



いや、幻聴にしては…自棄に審らかな……。


…。

……。


…ッみょうじは、何を謂っているのだッッ!!??



「…き、貴様…そ、れは…聴き違えでは、無いのだろうなッ!?」

『えっ!?…はい、間違いなくそうおっしゃっていたかと…。』


…ッッ!!!!


…くッ…!
俺様が、今この刻まで、静観をしていたのは、
あくまでも、みょうじに害が及ぶ事が無かったからだ…。

だが、もう…そのような叮寧を謂っている場合では、無いという事か…!!!



それがどうかしましたか?
とさも不思議そうな闇の聖母の言葉は風と流し、

バッと時刻計を視れば、もう二の刻を過ぎている。


(…こうしては、居られんッ…!!)


『あら?田中さん…どちらへ?
まだ待ち合わせ時間でもありませんが…。』

「…刻下、俺様には果たさねばならん命題が有った事を思い出してな。

…征くぞ、破壊神暗黒四天王ッ!!」

未だと続いている声々を遮断しつつ、
四天王達をストールへと帰還させ、
情況も全てと擱いて、焦燥に焼かれながらとレストランを後にする―。



『…まぁ、行ってしまわれました。
まだお伺いしたい事もあったのですが…。
仕方がありません、後で日向さんにお伺いしましょう。』


まぁ、此の闇の聖母が疑義まで、確と聴き及んでいれば、先は変わっていたのかもしれんがな…。



――



宛所と無く、迫り来る刻々に抗うようにと駆出したが、


…彼女の居場所は、心当てが、有った。


みょうじの、コテージ。

それなりと準備が有るならば、恐らくは未だ、と。


扉が前へ辿り着いては、一つと息を吐き、
早鐘が、早鐘を鳴らせと煩く、指掛ける…。


ピンポーン…。



『…はい?

…って、え?た、田中くん!?』

どうしたの?
と、俺様の慮外な来訪に愕くみょうじは、今日日も何等と変わりは無い。


…が、どうした?とは、こちらの科白というものだ。


彼女の疑問には敢えてと答えず、

「…みょうじ、左右田の下へ…往く、のか?」

情感を全てと殺し、唯、真直ぐ、その真意を知るべくと、切り込む。

『え?あ、そうなの、今日お誕生日会する事になってて。』

…が、こうも、晴れやかに返される、とはな…。


……そう、か。

此れはもう、懐疑の余地も無いという事か。

ならば、俺様も形無と、引下がるが華なのかもしれんな…。


だが、そんな理会から転落していくは、
彼女への想いと低劣な嫉心ばかりなのだ。


「…往くな、みょうじ。
…何故、何故左右田なのだ?何故左右田なんぞ、に…。

俺様の、俺様の方が、奴等比べるにも値せん程、貴様を想っているというのに…ッ!!」


…奴への傍焼きが余勢のままに、彼女が困るだろう事まで思い届かず、これでもかと想いを謂い放てば、

『え?…え?
あ…田中くん…何か、誤解…してない?

私、本当にお誕生日会するだけで…別に左右田くんが好き、とか…そういう訳じゃないよ…?』


……なん、だと?


「なッ、何を…謂っているのだ、俺様の心得違、だと?
も、元はと謂えばだな?

き…貴様が……

貴様が、左右田に…貴様自身を…贈る等と、闇の聖母に…謂うから、だな…。」

やや語るが内容と、彼女の赤らむ顔に釣られ、俺様にも一気と熱脈が巡っていくのを感じたが、

『えっ…わ、私、そんな事言って、ないよ…!?

ソニアちゃんには…プレゼント渡しをお願いしただけでっ…!』

…更にと赤々と、掛けられた言葉に羞じるようなみょうじの様子と、
彼女の言葉で…やっと、俺様は解したのだ。


みょうじは只、プレゼントを渡す任を頼みたかっただけなのだ、と。



「ッなッッ…!!!

そ、う…だった、のか…。」


(…闇の聖母め…紛らわしい…事をッ…。)


水泡に帰せん言葉の数々が、思い起こされては破裂しているかのように熱く茹る顔、
更には重なるその不体裁を、蓋い隠せるようにとストールを上げ、
兎角結界を強め、俺様が境界を衛るに徹していたのだが、



『…あ…あの、田中くん…。
それで…さっきの…想ってくれてる、っていうのは…本当…?』

……やはり、審判が刻、と…なるのだな…。

まぁ…既に、忘れろ、と謂ったところで、覆らんだろうしな…。

「…その…何だ?
そう、だな…先は…気勢に呑まれたように聴こえたかもしれん、が…

…俺様が想い自体に、偽りは…無い。」


謂い終えると同時に、どこか居た堪れなさが募る為…
ストールに手を掛け、深くと瞳を綴じ合わせては、
みょうじが裁きを…待つ。



『…ありがとう。

…じゃあ、田中くんのお誕生日プレゼントは…彼女、でもいいかな…?』


これでもかと昇り続ける血脈で、尚も染まる顔等忘れ、
彼女の諾う判決に引き牽かれれば、

…みょうじもまた、これ以上と無く、紅く。

しかし、彼女の笑顔が鉾先は、俺様へと確かに移ったのだ。



「……ああ。
…ならば、前祝で頼みたいところだな。
今年の俺様が生誕日は、たった今、この刻、だ。」

『…ふふ、随分、早まっちゃったね。』

彼女がまた一際と笑えば、
それに魅せられるがままに俺様も笑み、
贈られたが彼女との、此の刻を味わうのだ。





…まぁ、あくまでも結果論に過ぎんが…

このような心得違ならば、またと遭っても良いかもしれんな…。




…しかし、彼女が、

『…でもなんだか、夢みたい。
すっごく、嬉しいな。』

等と、恥じ入りながらに微笑むのを視れば、
ガタリと、箍が外れていくような音を憶え。



…一先ず、この後の左右田の生誕祭とやらを、
有らん限りの力で以って、阻止する事を心内で誓うのだ。


(…この笑顔を、何時となく占有していたというのか…。

…よほど、よほど死にたいらしいな?左右田ッ!!!)






*****


おまけ



『あ、左右田くん。』

「おう、みょうじ!!今日はありがとな…って、なんで田中が居んだよ!?」

「フン、当然だろう?
みょうじは今日日は俺様の生誕を祝うのだからな?」

「…は?オメー何言って…。」

『あ、えっと、ごめんね?
その、色々あってね…私、片想いじゃなくなっちゃって…。』

そしたらお誕生日会もダメだって言われちゃって…。
ごめんね?

そういうみょうじの声が、申し訳なさそう過ぎて変に怒るに怒れねえってゆーか…。
てかいつの間に、っつー話だよな!?涙。


『あ、でもね、プレゼントはあるんだよ?
ね、ソニアちゃん!』

え、ソニアさん!?とすぐに彼女に向き直るけど、

『はい、左右田さん、どうぞ!』

渡されたのはどーみてもガラクタの山ってゆーか…いやソニアさんがくれりゃ何でも嬉しいけどよ…。

『ごめんね、いい物なくて…とりあえず電気街のもの色々持って来てみたの、よかったら何かの部品にしてね!

じゃあ、ソニアちゃんもありがとう!』

『いえいえ、お気になさらず、です!』

「ってオイ!!もう帰っちまうのかよ!?ソニアさんまで!?」

『…え、だって…言い出した私が参加できないし…。
あ、ケーキは花村くんが小さいの作ってくれてるから、レストランで食べてね!』

「…な、ちょ、マジか!?一人でケーキ食えとか…ウソだろ!?」


本当にごめんね、って…
オイオイオイオイオイ!!
マジで行っちまうのかよ、みょうじ!?


完全に置いてかれてる俺に、

「…ハッ、貴様にはやはり一人が似合いだな、左右田?

それと、だ。
今後は、俺様の許可無くみょうじに近付くな。
…もし触れでもしようものなら…命は無いと思え。」

田中のムカつく視線と言葉が刺さるっつーか抉るっつーかよぉ!!!
オメーのもんかもしれねえけど、オメーだけのもんじゃねえだろみょうじは!!!



あー!!
みょうじが幸せそうなのはなんか嬉しいけどよ…

やっぱ田中だけは、ねえと思う!!!




(…つーか、みょうじと田中が上手くいったのに、なんで俺の隣にはソニアさんが居ねーんだ?)

とりあえず捕まえた日向と花村のケーキを食いながら、不思議に思ってたんだけどよ…


夕食中、ソニアさんに質問攻めに遭う日向まで目撃した俺は、
マジで誰も信じらんねえって、またそう思ったんだよ!!涙。





おまけ・終

*****

はい、とりあえず井澤が土下座の姿勢にて待機させて頂いておりました(額打ち)
どこから謝罪すればよろしいでしょうか(真顔)

まず、長らくお待ち頂きまして申し訳ございませんでした…!!涙。
リクエスト、ご詳細までたくさん書いて頂きましたのでなるべくお応え出来ますように、と頑張ったつもりだったのですが…主人公ちゃん、あんまり嫉妬してない&田中くんの勘違い甚だしい&つーか左右田くん可哀想ごめんの三拍子で井澤が泣いてます申し訳ございません…(切腹)

…まぁソニアちゃんもけっこー無理矢理かな、とか思ったりなんなりしましたが…逆にソニアちゃんだから有りかなって…あああ黙ります石詰めだけはお許しください涙。
おまけが誰の為のおまけなのか一番知りたいのは井澤です(よし、一遍逝っておこうか)

まだまだ謝り足りておりません部分があるかと存じますが、恒例な考察という夢の島に不法投棄しようかと思います…。

この度も最後までお付き合い頂きまして、本当に本当に有難うございました!!

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