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幻想
誤解するもされるも恋の内。(スーダン・田中眼蛇夢+α)
※お相手は田中くんです。こちらも大変恐縮な事に、キリ番リクエストで頂きました!(春様、リクエスト有り難うございます!)

※アイランドなお話で、すでに恋人設定です。ちょっこりケンカしたり、誰かが参戦(?)してきたり…です。
誰かはご希望がございませんでしたので、お楽しみ、という事で井澤が選定させて頂きました…申し訳ございません(先の謝罪)

※能力設定等々ございませんので、お好きなご設定にてお楽しみ頂けましたら何よりです。



*****



ちょっと不思議な修学旅行最中の、
やっぱりちょっと不思議なお休みの日の、
それでも至って普通の、お昼前。

ロケットパンチマーケット、にて。



『ねぇ、眼蛇夢くん、これは?』

シャッと、カーテンを開けて。

「む……悪くは、無い…が、却下だな…。」

とある、彼氏さんと。



『んーそっか…。

…じゃあ、こっちは?』

すぐに中に戻って。
次の候補を纏って。
またカーテンをシャッと、開けて。

「…ッ!それは、…止めて、おけ…。」

…ほんの一瞬しか見ずに、一蹴、ですか…。


『え、そんなにいまいちだった…?

…えーと…。
それなら、これは?』

更に次の候補に移って。
手早く纏って。
またまたカーテンをシャッと開けて。

「なッ!…それは、なんだ…その…色々と、危うい、だろう…奴等の襲撃に備えられる程度の防護力は、喩え水を制する薄衣(水着)だとしてもだな…。」

…完全にそっぽを向かれて、なぜか防御力の必要性を謳われる。

『…もー解ったよ、これもダメなんだね。』

じゃ、こっち。
と再度カーテンに手を掛けて、とりあえず選んだ候補の最後を纏う。

『…ね、これはどうかな?』

一際清楚かと思われるそれだったのだけれど、

「…ッ…そう、だな…。
先の中では…最も、優等だが…いや、しかしだな…。」

僅かに私に戻った彼の視線が、また遠離る。


…つまり、ちょっと見てくれたと思っても、すぐに逸らされている始末。


未だに私を見ない彼に…どうしようもなく、腹が立ってしまう、嫌な…感情。


それと向き合う前に、

『…っもう!全然ちゃんと見てくれてないし!
似合わないなら…似合わないって、はっきり言ってよ!!』

気付けば叫んでしまっていて。
同時に、知らずの内に目に溜まった涙が溢れていく。

「なッ…、何を…泣いて、いるのだ…?」

やっと私をしっかり見詰めた彼の両目は見開かれて、驚愕と戸惑いの色が滲んでる。


…本当に、驚いてる…それは、そうだよね。


『…解らないなら、いいよ…。』

これ以上、泣き顔を見られるのも…
なんだか余計に、悲しくなるから。

彼がまだ揺動に身を取られている間に、
着替え易さを優先に選んだワンピースだけを水着の上から被って、全速力で駆け出していく。


「…ッおなまえ…!!」


彼がそう呼び止める声が鼓膜に届いても。
振り返らず、息が切れるまで走り続けてしまう。



―――



すっかり外へと飛び出して、息苦しさに頭が冷えれば、やって来るのは自己嫌悪。


(…私本当に…可愛くない、な…。)


眼蛇夢くんは…全然、悪くない。
全部、私が素直じゃなかったから。
初めから…きちんと話していたら…こんな事に、ならなかったのかもしれないのに…。
でも、なんだか…話し出せなかった…。



――


みんなと仲良くする為だけの、一風変わった修学旅行。
その初日から、一風変わった眼蛇夢くんと採取場所が一緒になった。

なんだか初めて会うタイプで面白かったので、一日中楽しく話していれば、
甚く気に入って頂けたようで、何気なく行動を共にするようになって。

数日も経てば、特異点の通過儀礼。

それを受けて日々を過ごせば、
数週間で真っ赤な彼からお付き合いの申し入れがあって…
それも、嬉しかったから…受け入れて。


覇王様がみんなに恥ずかしげも無く、
彼氏彼女となった事を触れ回られて、更に数週間。


修学旅行は、残り2週間ちょっと。
今日を含めて、お休みは、あと3日。



…なのに、ですよ。
さらにここは、せっかく常夏の島なのに。
私はまだ、眼蛇夢くんと海に行ってない。


だからわざと、今日の午後は女子達だけの海水浴の予定を入れて。
その為の水着を選びたいから、と渋る彼を無理矢理にロケットパンチマーケットに連れて来て…


それで少しでも…眼蛇夢くんが、一緒に海に行きたいと思ってくれれば、と期待して。
あわよくば…水着姿を、可愛いとか褒めてもらえたらとか…こっそり思ったりもしてた訳なんだけど…。


…まぁ、私なんて?
千秋ちゃんや朱音ちゃん、ペコちゃんにソニアちゃんに蜜柑ちゃん達に比べれば、そりゃ貧相なスタイルだと解ってますよっ。
唯吹ちゃんや真昼ちゃんみたいにスレンダーな訳でもないし、日寄子ちゃんみたいな別格の魅力もございませんし!




…だからまぁ、結局、私が勝手に思ってただけで、
全部ぜーんぶ、空回り。


『…どうせ、私は魅力ないですよ…。』

はぁ、と溜息を零しながら、とぼとぼと自分のコテージへ帰るべく歩く。

試着室の中も片付けずに来ちゃったけど、とりあえず中に着たままの水着を着替えた後で戻ればいいよね。
…まだ眼蛇夢くんには、会い辛い、し。


本当はすぐに謝るべきだって解ってるんだけど…
ここで意地を張ってしまう自分が、また可愛くない事も解ってる…。


(…それでも、思ってたより、やっぱりショックだな…。)


再度、はぁ−っと深めに溜息を落としてしまえば、
目にまた涙が戻ってくる。


(あ、本当に、泣きそう…か、も…。)


耐え切れない、と思って慌てて下を向いたまま、
早くコテージに着きたい思いで歩き続ければ、


「…あれ…?みょうじさん?」

前方不注意甚だしい私の頭上に降ってきた柔和な声。
それに思わずばっと顔を上げてしまったから、
慌てて貯まった涙を拭って、声の主に向き直る。

『…狛枝くん。』

「…や。一人だなんて、珍しいね?」

そう、朗らかに。
…良かった…気付かれて、なさそう。

「…それにしてもボクはなんてツイてるんだろうね。
まさかみょうじさんと二人になれるなんて…。
いつもは田中クンのガードがそれはもう堅いからね、こうして話す事だって憚られる位なのに。」

『え…私、そんなに眼蛇夢くんと、一緒に居るかな…。』

そんなに楽しげに言われましても…。
う、なんだか、恥ずかしいな…。

「はは、いつもは田中クンの監視が厳しいからね。なんていうのかな…番犬?
あ、彼の言葉風に言えば…お姫様を護る地獄の魔犬(ケルベロス)って感じ、かな?
みょうじさんに近付くなんて…とてもじゃないけど出来ないよ。」

はは、とまた狛枝くんは笑ってるけど…

『え、お、お姫様!?大袈裟だよ、そんな事全然ないと思うな…。』

照れくささもあって、ブンブンと手を振りながら大きく否定してしまう。
でも彼はそんな私とは対照的に、

「…へえ…みょうじさんは、何も解ってないんだね。
まぁそういうところが男には堪らなくもあるんだけど…これじゃあ田中クンも大変、な訳だ。」

クスッと肩を竦めて笑っている。


『……え?』

その彼の言葉がよく聞こえなくて聞き返したのだけど、いつもの笑顔で躱されてしまい、

「…それで、さっき泣いてたみたいだけど、どうしたの?
…何か悩み事?ボクなんかで良ければ、何でも聞くよ?」

そしてやっぱり、涙は見られてしまっていたらしく…。

ね?とにこやかに、どこか摯実に心配されてしまって…言葉にぐっと詰まってしまう。

『…。』

何度思い返しても私が悪いばかりのその事情に、押し黙ったままの私を見て、苦笑するような彼。



しばらくと沈黙を守っていたら、狛枝くんが先にまた話してくれる。


「…じゃあ、当ててあげようか?
そうだな、みょうじさんは今田中クンと…喧嘩中、ってところかな?
原因は…些細な事なのかもしれないね、それでみょうじさんは自己嫌悪に陥っていて…落ち込んでるのかな?」

…どう?と、
人懐っこく笑う彼の鋭さに驚いて。
もっと声が出なく、なる…。

「…当たってる、みたいだね。
でもボクは…その喧嘩、みょうじさんだけが悪い訳じゃないと思うけどな。」

『…えっ?そんな、事…。』

果たして彼は何を根拠にそんな事を言っているのか。

ただただ驚く私を余所に、尚も狛枝くんは言葉を続けていく。

「…本当にそうかな?
…そもそもさ、田中クンも素直じゃないというか…結局は解ってないんじゃないかと思うんだ。
みょうじさんと一緒に居られるだけでどれだけ幸せか、って事を。」

『…えぇっ!?な、何の…話?』

答えてはくれないけれど、にこ、っと微笑まれて。

かと思えば、キュっと口を結んで、一瞬強張るような表情を見せる彼…。


いつも、と言えばそうなんだけど…
今日の彼は…なんだか…特に、解らない。

それでも私の困惑なんて彼には関係のない話で、

「…ましてや、こうしてみょうじさんを泣かせるなんて…ボクには、許せないな。

…ねぇ、みょうじさん。
気を悪くしないで欲しいんだけど…いや、ボクなんかがこんな事を言うのも烏滸がましいって、十分解ってるつもりだけど…それでも、言わずにいられないんだよ。」

…だから聞いてくれるかな?

と一層柔和に微笑まれて、彼の意図が益々解らなくなっていく。

けれど普段の彼とは違う雰囲気に、何か大事な話らしい、という事だけは、流石に解る…。

特に掛ける言葉も拒む理由も見付からなかったので、
こく、と軽く、頷いて返せば、
ふわっと、笑う狛枝くんが映る。


「…ありがとう。

…本当は、こんな時に言うのは、卑怯なのかもしれないけど…。

みょうじさん、ボクは…キミの事が、好きなんだ。」


……え?

今、好き…って…。



『…ぇえっ!?こ、狛枝くん!?』


…思いも寄らない、告白に。

目を白黒させて驚くしかない私を見て、
また肩を竦めて、苦笑を1つ落としている狛枝くん。



(あ、私…告白、されて…るんだ…。)


そう、認識、して。

一気にカッと、身体が熱くなるような気配に、とりあえず私が只管焦っていれば、
彼はどんどん私を置いて行くように、言葉を続けてしまう。

「…ボクなんかに好かれて、みょうじさんはとんだ不幸だと思うけど…。
でもね、これだけは言えるよ、みょうじさんはキミが思ってるよりずっと…ずっと、魅力的だよ。
それこそ田中クンが縛りたくなる理由も…よく解る程に、ね。

でも…ボクなら、みょうじさんを縛ったりしない、全部みょうじさんを優先するよ…。
キミを泣かせるような事も絶対にしない…。」

だから、と。

少し妖艶に揺れて、力強く私を捉える彼の目に…
ああ、本気なんだ、と、心に響く。

彼の想いが…解る。



…けれど…私、は…。




『狛枝くん、私…。』







「…おなまえッ!!」

…名前を呼ばれた事よりも、その声自体に。
跳ねるように振り向けば、少し辛気に息を吐き、駆ける…彼の姿が見える。



…あ、眼蛇夢くん…。




…捜して、くれて…たんだ…。



ああ、やっぱり…私。


『…ありがとう、すごく…嬉しい。


…でもごめんね、私やっぱり…縛られる方が、好きみたい。』

はっきりと、そう心に決めて告げる。

「…そっか、残念だな…。いや、ボクなんかじゃみょうじさんに釣り合わないって…解ってたつもりだけど、ね?」

少しぎこちないながらも、笑って返してくれる彼の優しさに心は痛むけど…。
迎えに来てくれただけで、こんなにも胸が高鳴るのは、彼しか居ないと…改めて解ってしまったから。


「…じゃあ、お邪魔虫はそろそろ退散しようかな。」

狛枝くんの視線を辿れば、私のすぐ、後ろ。

「……狛枝…貴様ッ…!!それ以上おなまえに近付くな!!

…命が惜しくば、直ちに消え失せろ。」

怒気を孕んで睨みを利かせている眼蛇夢くんが、
それは冷たく言い放つのを、ただ見上げるしかなく。

「…はいはい、解ってるよ。」

笑顔で手をひらひらと振りながら、

…またね、みょうじさん。

という狛枝くんの声が、私にだけ聞こえるようにそっと囁き置かれる。

それに彼との関係が崩れなかった事を感じられて、ちょっと安心する。

だから、またね、と笑顔で返す…



はずだったのだけど、

ぐいっと後ろから、腰を抱き寄せられて、
同時に首に回される眼蛇夢くんの腕にもびっくりして。
一瞬で言葉が引っ込んでしまう。


「…はは、最後まで見せ付けてくれるよね、田中クンは。

まぁ解ってたんだよ、本当は。ボクの幸運は不幸とワンセットだからね、告白出来るチャンスがあった時は…振られる時だって、ね…。

…でも、それでみょうじさんの幸せの助けになれたなら…やっぱりボクは、幸運なのかもしれないね。」


彼の言葉は誰に聞かせるでもなく、風に掠われるだけの、自分の為の独り言のようなものだったから、
遠離る背中を呆然と眺めていた私の耳にも、もちろん眼蛇夢くんの耳にも、一語だって運ばれる事はなかった。






『……。』

喧嘩…しちゃってた、はずなんだけど。

どうにも謝るタイミングを、逃してしまったな、と。
彼に抱かれたまま次の行動を考えるけれど、何が合ってるのかがさっぱり解らない。

「…おなまえ。」

そう呼ばれれば、ガっと両肩を掴まれて、強制的に彼の正面へと身体が向かされる。

「…何も、されなかったか?」

篤実な彼の視線が、一心に注がれるのが、痛い位。



怒るどころか、心配が勝っているらしい彼に

『…うん、ちょっと、お話してただけ。』

必要悪な嘘を綯い交ぜに、笑うのが心苦しい…。

「…そうか、なら…良い…。」

その笑顔に、心がズキリと痛んだけれど…
それは狛枝くんへのせめてもの償いに、私が受けるべきものだから。

…ごめんね、眼蛇夢くん。

心声だけに留めつつ、笑顔にひた隠して謝れば、
何故か彼の表情が雲掛かっていく…。


(…あれ…?)


もしやバレているのでは…?と。

…正直ちょっと冷汗が伝っていれば、

「…それで…だな…。

おなまえ、先刻は……済まな、かった。」

述べられたのは…彼には相応しくないとも言える、謝罪の言葉。
思わず目をしぱしぱと動かしていれば、またも謝るタイミングを逃してしまう。

「…その…逆、なのだ…。
貴様は…水を制する薄衣(水着)を纏う姿を、俺様が好ましくなく、思っていると感じたようだが…、全くの誤解、だ…。

…だから、つまり…だな、その…似合い過ぎて…いる、のだ。」

拠って直視がなかなかに…難儀を極める、ところでだな…。


消え入りそうな声と、ストールを上げても隠れ切れない真っ赤な顔に、自然と顔が緩んでしまう。

…良かった…興味ない訳じゃ、なかったんだ。

『そう、だったんだ…。』

自分の頬が熱っぽく染まっていくのも感じるけれど、
なんとなく浮かれてしまうというか…それを隠す気にはならなくて。


でも彼はまだこちらを伺って、
少しそわそわと落ち着かなくて…何か言いたい事がある模様。

「…そう、だ。

だが…なんだ、貴様は…メス猫共のみだと言っていたが…海岸線は何も閉鎖された空間では無く、等しく他の人間共にも開かれているのだからな?
拠って、いつ何時奴等が襲来してくるかも解らん訳でだな…。

…だから、つまり…だな?…その…ろ、露出は、控え…ろ。」

相変わらず茹でダコみたいに真っ赤な彼ですが…

『…はい?』

水着で、露出を控えろとは、これ如何に。
奴等って、襲撃って、何の…事?



?と大きく首を傾げれば、

「…だが俺様も鬼ではないからな、これを纏うならば許可してやろう…!」

一体どこに持っていたのか、差し出されたのは水着一式。
…たまに彼の長ランが、どこでも四次元な例の道具に見えてしまうような…。


まぁ、そこはきっと突っ込んでしまったら負けだよね。
という訳で、渡された水着をみてみれば、

セパレート式なものの、お腹は見えないようになるセットの上下に、パレオ。
更にはアイボリーのパーカーまでセットされて…ますね。


…日焼けしたくない女子御用達、みたいな一式。


その意外なチョイスにちょっとだけ、一瞬だけ、思考が止まってしまったけど。


だけど…あの後、一人で選んでくれたんだ。

そう、彼が選んでくれた…それだけでも、なんだかすごく嬉しいものだ。


『…うん、じゃあ、これで行こうかな。ありがとう。』

水着をぎゅっと抱えて、笑顔で。

「…う、む。」

まだまだタコさんな彼に、ちょっとふざけるように抱き着いて。
ひどく慌てる彼もまた好きだな、と思ってしまってしょうがないから、

『私も、ごめんね!』

と素直に謝って。


…無事に、仲直り、できました。




―――



お昼を挟んでの午後、昼下がり。

真っ赤な太陽に、真っ青な海。

女子達だけの海水浴が、始まり始まり…。




うん、始まる、はず…。


『…で、なんで田中と九頭竜が居るわけ?
まぁ…正直、田中は来るんじゃないかって思ってたけどね…。』

やれやれと呆れる真昼ちゃんに、

『…みょうじ、必要なら…私が追い払うが?』

竹刀を構えるペコちゃん…。

とりあえず、

『みんなごめんね…。
あ、でも…多分、無害なので…大目に、見てあげてほしい…です…。』

謝るしかできないんだけど…本当にごめんね…。


『あ、おなまえちゃんが気にする事ないから!

…それにしても、服も着たままだし…一緒に泳ぐ訳じゃないって事?』

真昼ちゃんがキッと振り返って、
眼蛇夢くん達に問い詰めるように言えば、

「フハッ!今日日はメス猫共のみでの集いだろう?それを邪魔立てするつもりは無い…。
九頭竜とは偶々志を共にした為、この地に在るが…まぁ、俺様達の事は気にせず、貴様等だけで興じているが良い…。」

「フン、まぁ…そういうこった、本当に俺たちの事は気にするこたぁねえからよ。」

何故か二人は意気投合した返答を。

『…?まぁ、別に…そう言うならいいけど…。

…っよし!
じゃあ、あいつらは放っておいて、みんな行こっか!』

うんっ!!

と女子みんなで海に繰り出していく。

私もみんなの流れに乗りつつも、
最後にちらっと様子を伺ってみるのですが…。


(でも…本当にこっちに背中向けてるな、二人とも…。)


本当になんなのかさっぱりだったので、
とりあえず置いて行かれないように、と小走りでみんなの輪へと入っていく。





―ややしばらく、楽しく楽しく遊んでいれば。


「…ハッ!やはり来おったか左右田ッ!!
だが…貴様のような雑魚ならば、俺様が魔力を消費するべくも無いか…さぁ征くが良い、九頭竜!!」

「ハァ!?何指図してやがるんだ、テメェッ!!
…チッ!まぁけどこいつは…俺も気に食わねーと思ってたしな。」

「はっ!?ちょ、な、何だよ、お前等!?俺マジで通り掛かっただけだっつーの…!!」

「フンッ!そんな狂言が通ると思っているのか?莫迦めッ!!」

「…ま、観念しろや。」




「…うっぎゃああああああ!!!」




…なんだか遠くで、左右田くんの悲鳴が聞こえた気がする…。

ああ、なんだか眼蛇夢くんが言ってた意味も、ちょっと理解したような…。


確かにこれじゃ、二人で海なんて行けないのかなぁ…。
とちょっとだけ、諦めちゃうような気持ちになる。



(…うーん、今日は朝から色々あったしな…。
なんか少し、疲れちゃったかも。)



木陰で一人ぼんやりと、みんなが遊ぶ姿を眺めていれば、

「…おなまえ。」

高くから、全身に落ちてくるのは、低く凛然とした彼の声。

『…あれ、眼蛇夢くん。どうしたの?』

すと、っと隣に腰を掛けられて。
つ、と顔を寄せて、距離を詰められれば、
艶めいたそれで囁かれるように。

「…他の人間共が帰島した後…少し、残れ。


俺様が瞳にも、貴様のその姿を映す刻が欲しいからな…。」

叶うならば…その羽織りが下の柔肌まで、焼き付けたいところだな…?


フッと不適に、熱っぽい笑みまで残され、て。

すぐに立ち上がって去って行く彼の背中を見送れないのは、
ブワっと熱を帯びる身体を持て余して、動けない、から。



(…さ、さっきまで…全然、見も、しなかった…くせに…。)




彼の適応力の早さにどこか焦りを感じるけれど、
それでも、その気にさせられた事は…確かみたい、だから。

今はどうにか日差しのせいに出来ない熱を逃がす事に集中して、みんなのところに戻る事だけを考える事にしようかな…。








*****


大変お待たせ致しまして申し訳ございませんでした…!
申し訳ございません、内容もこれまた酷いばかりで申し訳ございません、ダメですね全体的に(土下座×土下座)

狛枝尺が長い…!だからか田中くんの出番が少なかったかもしれません…。
最終的に甘さが足りなくて納得行かない井澤が暴走していて謝罪の気持ちしかございません…凹。。
何故最後に俺様スイッチを入れたのか…もはやちょっと変態くさいですよね(真顔)
いや、なんと申しますか…やっぱり気になって、チラチラ見てる内に、余計に見たくなるアレです。
まぁ田中くんだって結局は高校生ですからね…あああごめんなさい大丈夫ですもっと殴って頂いて構いません!(ウェルカム止めろ)

照れ田くん(久々に出た照れる田中くん)ラストの方が良かったでしょうか。。
何か諸々ご意見場罵詈雑言ございましたら是非にご連絡頂けましたら幸いです。
この度もお読み頂きまして有り難うございました!

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あきゅろす。
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