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幻想
覇王様特製を、限定で。(スーダン・田中眼蛇夢)
※お相手は田中くんです。今回も光栄至極な事に、キリ番リクエストで頂きました!(茶紅覇様、本当に有難うございます!)

※もうサンタさんに、ネーミングセンス、というプレゼントを頼もうかと思います(真顔)

※アイランドの方でほのぼの、まったり、なお話を目指させて頂いております(リクエスト内容にしっかり応えろよ)

※どうしてかまた長めです…申し訳、ございません…涙。

※主人公ちゃんに基本設定は特にございませんので、お好きなご設定にてお楽しみ頂けましたら幸いです。





*****




毎日毎日、採集に課題と、意外と修学旅行も大変です。
それでも学ぶ事が多い…というか、皆で何かを一緒にしたり、達成したりするのは思いの外楽しいし、頑張らなきゃな、と思います。


常夏な陽気に、授業も無いから、毎日がお休みみたいなものではあるけれど…。
やっぱり休日は特別な気がして、1日も無駄にしたくないから、今日も外へと出掛けます。



(うん、いいお天気。)



日射しが眩しくて、軽く肌に射さって。
南の島って、気候につられて、心も温かくなる気がします。


(ウサミ先生がここを修学旅行に選んだのも、解る気がするな…。)


ついでに身体もぽかぽかしてきて、
なんだかちょっと…眠い、かも。


(でも…さっき起きたばっかりなのに、おかしいな…。)


次第に眠気特有のだるさにも見舞われて。
プールサイドのベンチに座って、とりあえず一休み。


せっかくだし、千秋ちゃんをお昼寝に誘ってみようかな…。



…ん?
お昼寝に誘う、って…一緒に遊ぶ訳でもないし、変…なの、かな…?



―――



そんな疑問の渦に誘われて、すっかり眠ってしまったみたいです。



―――





「…みょうじ、起きろ、みょうじ。」


なんか…声が、してる?


…呼ばれてる、かも…。


眠くて重い瞼をごしっと擦れば、次第に浮かび上がるシルエット。



『…ん……ん?

あ、田中くん…。』

おはよう、と寝ぼけ眼のままで言えば、

「…みょうじ、いくら常灼たる地とはいえ、このような場所で安易に眠るな。」

魔菌に取り入られるぞ、と険しい顔の田中くん。



…なんだか、怒って…る?

『ええっと、ごめん…なさい。』

なぜか彼が怒ってる時は…素直に謝ってしまう事が多いな、とぼんやり思いながら。


それでも、

「…フン、以後は気を付ける事だな。
…第一、先に俺様の邪眼が貴様の姿を捕らえたから良かったものの…他の人間共に出くわしていたならば、どうなっていた事か知れんのだからな。」

大体にして、貴様の結界は脆すぎるのだ。


と、更に鋭く、険しくなる田中くんの顔。


んー謝ったけど…解ってないの、見抜かれちゃってるのかな?
それにしても、寝ぼけた頭に…なかなかの、難題。


『んーと…どうもならない、と思うんだけど…。
…とりあえず、起こしてくれてありがとう、田中くん。』

まだ少し眠さに負けた顔で、ふにゃっと笑う。

怒ってる理由は解らないけど、なんとなく、田中くんはいい人だという事は解っているので、お礼は言っておかなきゃです。


「…まぁ、その奥妙までは…言わん事とするが……努々、心掛けろ。」

ふい、と視線を外されてしまったけど、少し表情は柔らかくなったみたい。
良かった。

『はい、気を付けます。』

「ああ…。」




途切れた会話に、また眠さが訪れてしまうから、
んー、と一つ、伸びをして。



…どうしよう、かな?

ちょっと時間は経っちゃったけど…
なんだかまだ眠いし…やっぱり、千秋ちゃんのところに行ってみようかな?

…田中くんは、あんまり誰かと居るの好きじゃなかったはずだし、ここで長居しちゃうのも…迷惑かも、しれないし…。


…うん、そうしようかな。

『…田中くん、起こしてくれて本当にありがとう!』

立ち上がって、またね、と踵を返す。




それと、同時に。

「…待て、みょうじ。」



田中くんに呼び止められたと思ったら、
ぐっと顔を寄せられて、とってもびっくり。


『ふぇ!?な、何…?』

ひどく間抜けな声を上げてしまいました…。


でもとりあえず、理由を聞きたくて…次の言葉を待つけれど、
私と目線を合わせる為に屈んでいる覇王様は、難しい顔をしているばかりで…。



(…えっと…なんでしょう、か?)


じ、っと顔を見詰められながら、心中でこっそり聞いてみても、
やっぱりお返事はありません。

今にも泳ぎだしそうな目をなんとか逸らさずにいれば、

「先から思ってはいたが…やはり貴様、顔色が悪いな…。」


意外な、一言。

私、心配されてました…。


『…え?あ、そう…かな?
うーん、ちょっと眠いけど…特に身体の調子は、悪くないんだけど…。』


「…。」


んーと、事実なんだけど…まだまだ覇王様は難しい顔をなさっています…。

心当たり、何か、心当たりを探さないと…



…あ!


『えーっと、そういえば、最近、ちょっと夏バテ気味というか…食欲、落ちてる…かな…。』

もじ、と手をくっ付けながら、なんでか解らないけど…ちょっと言い淀んでしまう。

「…もう斜陽も頂近い刻だが…よもや、今朝方から何も食しておらんのか?」

キッと、更に鋭く光る彼の両目。

『えっと、はい…今日は…何も、食べてない、です…。』

眉間に深く皺が寄るのを見れば、ついに目を泳ぎに泳がせてしまいました。




「…付いて来い。」

カッと、高く、どこか低く、ブーツを鳴らして。
長ランを翻して、歩き始める田中くん。


『えっ!?あ…ま、待って!』

なんでか解らないけど、咄嗟に。
置いて行かれるような気がして…つい、そんな声を上げれば、

「…早くしろ、刻は有限なのだからな。」

少し足を止めて、こっちを伺いながら、待ってくれている田中くん。
慌てて隣に並べば、またカッとブーツが鳴って。
半歩遅れて、ついていきます。



まだほんの少し、寝惚けている頭では、状況がうまく読めていなくて。


(田中くんと…休日一緒に居るのは、初めてだな…。)


なんて思ったりもするのだけれど、さっき怒ってたみたいだったから…
なんとなくそれを言葉にしていいものか悩みます…。



だけど、無言も耐えられないような気がして、

『…どこに行くの?』

彼の横顔に、ちょっとだけ、質問。

「…貴様が現下、最も赴くべき場所だ。」

視線だけで返される、答えが見えない、彼の回答。


…んーなぞなぞ?
それにしても、私が行かなきゃいけない場所、ってどこだろう…?




なんていう謎解きの時間もなく。
プールサイドからほんの数十歩で、レストランへと到着です。


『えっと…レストラン、だね?』

ここですか?
と、入口で、回答確認です。

「…そうだが?
何を呆けているのだ、貴様はどこかに座しているが良い。」

またもや鋭い眼光で言われ、

『…あ、うん。』

言われたまま素直に、近くの席にちょこんと座ってみて。



何故…私は今、田中くんとレストランに居るのでしょうか。
しかも田中くんはどこかに行っちゃいました。

むむ、これまた難題、と思っていれば、
キッチンの方から話し声が。


「おや?田中くんじゃないか、どうしたんだい?
あ!もしかして休日をぼくと過ごす為に、わざわざ来てくれたのかい!?それは嬉しいなぁ!!」

どうやらキッチンに花村くんが居るみたいです。

「…えっ?違うのかい?
それどころか出て行けだなんて酷いじゃないか!ぼくだってまだ仕込みの途中で…。」

と、ぷりぷり怒る花村くんが、キッチンから少し出てきました。



…あ、背中を田中くんに力一杯(おぼん越し)に押されて…無理矢理、押し出されてる、って感じだけど…。

「もうっ!!だからぼくだってまだ目が離せない料理があるのに!急にキッチンをかして欲しいだなんて困るよ!!
…って、あれ?みょうじさんじゃないか!みょうじさんまでどうしたんだい!?あ、もしかしてぼくに用事があるのは本当はみょうじさんだったりする「くどいぞ貴様ッ!!俺様はもちろん、みょうじも貴様に用等無いッ!俺様が用向は庖厨(キッチン)のみだ!!」

…なんだか少しだけ焦ったように、急に声を張り上げている田中くん。


そこまで強く言わなくても…と思うけれど、

確かに花村くんに用事は無いかな…?

なんて考えてしまえば、すっかり話に入りそびれてしまう。

「…とにかく、だ…この地が貴様の牙城である事は俺様も与り知るところだが、しばらくは俺様に明け渡すが良い。
フン…そうだな、指針が12の刻を示す頃には返戻してやろう。」

…良いな?

と、花村くんを強く睨んで言う田中くんは、
なんだか有無を言わせる感じじゃない気がします…。


「…もう、しょうがないなぁ。
まぁぼくはなんて言ってもストライクゾーン並みに心が広いからね!
何をするのかはよく解らないけど、田中くんがそこまで言うなら…うん、キッチン使ってもいいよ!
で、ぼくは12時頃に戻ればいいんだね?」

でもくれぐれも大事に使ってよね!と、念を押す花村くん。

「…ああ、心得ている。」

だからさっさと行け。
…みたいなオーラが、ちょっと怖いです、田中くん。

「…はいはい、出てけばいいんだよね。

…みょうじさんも大変だね?」

何故か私の横を通り過ぎる時に、そう声を掛けられて、

『…え?そう、かな?…えっと、それよりキッチン…なんかごめんね。』

とりあえず追い出しちゃった事を謝って、またね、と花村くんを送り出す。




花村くんが出て行くのを見届けると、田中くんがキッチンの中へと戻ってしまいました。


(…行っちゃったな。)


広いレストランに、急に一人ぼっち。
ほんの数分だけど、少しだけ心細く感じ始めたその時に。



田中くんが、キッチンから出てくる姿が見えました。
…こっちに、来てくれるみたい。

「…しばし刻を要するからな、これでも摂りながら待っていろ。」

私の前に、紅茶を、すと、と置いて。

『…ミルクティーだ。』

しかも、ロイヤル、です。

「…不満、か?」

と、ちょっと眉間に皺が寄る田中くんに、
そんな事ないよ、と首を振る。

『…ううんっ、大好きだよ。』

よく煎れ方知ってるね、と笑い掛ければ、
ストールを上げたまま、私を見てくれなくなってしまって。

『ええっと…?あ、そうか、ありがとう。』

お礼言ってなかったね、と笑ってみても、

「…いや、構わん。」

未だにそっぽを向いたままの田中くん。
また違った…、かな?


むむ、と謎解きタイムに入ろうとすれば、ちらっと田中くんの目線が帰ってきて、

「…まぁ、何だ…俺様は再度戻るが…貴様は、大人しく待っていろ、良いな?」

立ったままの彼の口元あたりから、そう言葉が降ってくる。

『うん、待ってます。』

改めてぴしっと座ってそう答えれば、
またカッとブーツを鳴らして、帰ってしまう。


(…やっぱり、行っちゃった。)


言われた通りに大人しく、待ってようかな。
ちょっと寂しい、けど。


机の上で一緒に待ってくれている、
南国にはなんだか不釣り合いなホットミルクティーを、一口、飲む。

暑い時に熱いものは避けがちだけど…
ミルクが優しいから、身体も温まって、なんだかすっと染み込んでいくようで。
ふわっと薫る馨に包まれていくような、不思議な感じ。


(…あったかい。)



―――



すっかり紅茶も残り香だけになって、時計を見れば、あれから15分ちょっと経った頃みたい。

…今更だけど、田中くん…何か、ご飯でも作ってるのかな?


なんて…なんて今更なの、私!


と、自分で自分の間抜けさを悔やんでいれば、


噂の彼のご登場です。


両手にお皿を持って、またカッとブーツを鳴らしながら、こっちへ来てくれて。
その見慣れない装いに、すっかり目が釘付けです。

「…む、大分待たせた…か?」

じっと彼を見詰める私の視線が、咎めるように見えてしまったのか、こんな言葉が飛んできたけれど…
私は貴方の持っているお皿に興味津々なんです。

『ううん…やっぱり、ご飯作ってたんだね。』

的外れだと解っているけど、そんな事を言えば、

「……それ以外に何があるというのだ、訳の解らん事を言うな、貴様は。」

やっぱり少し、呆れられて。

『あはは、そうだよね。
…でも田中くんて、お料理出来るんだね!』

「まぁ…軽易なものしか出来んが、な。」

そう答えてくれたと思ったら、
お皿が、こと、と私の目の前に置かれました。



あれ?
…私の、なの?



『…田中くん。』

「…何だ?」

私の向かいに腰掛けながら、田中くんの声が返ってきます。

『これ…私に?』

お皿を指して、まさか、とばかりに尋ねれば、

「…そうに決まっているだろう。」

また、少し呆れられてしまう。


…えと、決まってるんですか…?


そうすっかり混乱していれば、溜息交じりに、

「…貴様が今朝方どころか、ここのところ碌に食しておらん等と言うからだ。
先も睡魔の急襲に遭ったと言っていたが…どう考じても、それも糧不足が主たる原因だろう。」


あ…さっきの、夏バテの事…。
あんまり食べてない、って言ったから、か…。

なんていっても超高校級の飼育委員だもんね、いくら人間の私でも…そういうのは、放っておけないのかな…?


『…そっか、心配してくれて…ありがとう。』

「…フン、貴様を憂慮した訳では、ない…。
…何だ、貴様が…そのように、生者たる摂理に反している事が…許せん、からだ。」

また視線は合わないままに、言われて。


…なんだか不機嫌そうだったのは、私の不摂生が原因だったんだな、と反省。


『…ごめんね。これからは…もっと気を付けます。』

田中くんにも怒られないように。
と付け足せば、


「…何だ?貴様は…俺様の寛恕を得る為に、努める、というのか?」

そうニッと、なんだか意味有り気に笑われたけど…
その謎は解けないままに、彼が言葉を続けてしまいます。


「…まぁ、良い。
とにかく、貴様は早急に食事をしろ。」

田中くんに促されれば、
一気に運ばれたご飯を思って、

『…そうだね。
せっかく作ってくれたんだもんね、うん、いただきます!』

そう元気よく言って、目の前のお皿へと視線を落とします。




改めて見てみれば、メインは浅めのボウルに入っている、冷製風のおうどん。
オクラとお海苔が添えられていて、至ってシンプルな感じです。

ロイヤルミルクティーの衝撃も新しいままだったけど、意外な事に和食です。

でも…うん、なんとなく、田中くんは、和食の方が似合うかもしれない。
見た目とか…全然、そうじゃないんだけど…パスタとか、なんかイメージつかないような…そんな気がします。

なんて、作っている田中くんの様子を少し想像してみながら、
お箸で、一口。


…主食らしいものは、ちょっと久しぶりだったから…食べられるか本当は少し不安だったけれど、
後味に柚子の風味が薫って、爽やかで、あっさりしていて、すごくおいしい。


『うん、柚子が効いてて…すっごくおいしいよ、田中くん!』

これなら全部食べられそうだよ、
と伝えれば、

「…そうか、ならば…良かった、な。
だが、くれぐれも…無理はするなよ?」

そう柔らく微笑まれてしまって、ちょっとドキリとしてしまう。



…だって、意識してなかった、けど…

二人きりなんて、ほとんど無かったし…。
男子の手料理を食べるのも…初めて、だし。
食べてるところをずっと、見られているっていうか、見守られている、ような…感じだし。

これはなかなか、ドキドキしてしまいます、よ…。



そんな思いを隠すようにまた一口、と食べ進めて、
一緒に置かれた小鉢の方にお箸を伸ばす。

豚肉と、お葱の炒め物。
お肉も、最近は避け気味だったけど…ぱくっと、一口。


ご飯がなくてもちょうどいい位の味の濃さで。
豚肉の甘みに、甘じょっぱい味付が合っていて、こっちもおいしい。


…田中くんて、もしかして甘党なのかな?
だったら、ちょっと可愛いな。


『ふふ、これもおいしい。』

そんな事を考えながら感想を言えば、

「…?何故、笑う?」

ちょっと不審に思われてしまったけど…
覇王様が甘党だったら可愛いな、と思ってました。

…とは、言えません…。

『えっ?…すごくおいしいから、思わず…かな?』

なんて誤魔化して。
まだ田中くんは訝しんでいるような顔をしていたけど…
またもぐもぐとご飯を食べて、その追求から逃れます。


――


そうして順調に食べ続けていれば、表情が緩んでいく田中くん。
…なんだかんだで、本当に優しい人なんだな。


作ってくれた田中くんの為にも、頑張って全部食べなきゃ、とまたおうどんをお箸に取ったところで、

「…みょうじ、そちらの小鉢が中身を乗せても、なかなか妙味だぞ。」

そう声を掛けられて。

『…そうなんだ、じゃあ試してみようかな。』

豚肉とお葱を一口分、おうどんと一緒に口へと運ぶ。



うんっ甘めのお肉とおうどん…合います!!

『本当だ、これもすごくおいしい!
田中くん…良いお料理のセンスですね!』

と、彼の言い回しを真似て褒めてみれば、

「ハッ!まぁな、俗世が凡人たるそれと、比する事自体、愚かな事ではあるがな!?」

フハッ!と、とても喜んでくださいました。


なんか、こう…田中くんのこういう素直なところも、可愛い気がします。


でも可愛い、なんて言ったら怒られちゃいそうだから…
肯定の代わりに、また、一口、二口。
彼が作ってくれたご飯を食べていきます。



―――



あと数口、それで完食、のところまできて。
少し、疑問が発生しました。




『…そう言えば…田中くんはどうして気付いてくれたの?
蜜柑ちゃんでも…私の夏バテなんて、全然気付いてなかったのに…。』

毎日ご飯を作ってくれてる花村くんにも、なんだか悪い気がして言えなくて…。
みんなにも気付かれないように、こっそり朱音ちゃんに食べて貰ってたのに。



そんな単純な疑問に、
不意打ちのような、彼の回答。

「…フン、塵芥に等しき人間共と一括りにされては堪らんな…。


…俺様が、どれだけ…貴様を見ていると思っているのだ。」

私をしっかり見詰めて、
そう告げられても、

『…え?』

また私は…間の抜けた言葉しか、漏らせなくて。


思わず、お箸も止まってしまって…。
彼から目が…逸らせなくなってしまう。


なんだか世界が、ゆっくりなのに、
彼の声だけが、よく通ってくるんです。

「…そもそも、だ。
俺様が自らの手で以て、このように持て成してやる事等…貴様を於いて、他には有り得んのだからな。」

もう少し、その自覚を持て。


…と。


彼の言う、言葉の意味が…
私が…特別、だって…
そういう、ようにしか…取れない、気がするのは…
私の…意識し過ぎ、なのかな…。


『…あ、えっと…。』


何か、言わない、と。
でも…なんだか、何も…出て、こない。
なんか、頭がジンジン、します…。





すっかり言葉を失った私が、
ぐるぐるする思考と、時間に置いて行かれていれば、


「…迷惑、だったか?」

…そんな、自嘲交じりな笑顔と声が向けられてしまって。




なんだか…すごく、悲しい。


『…っそ、んな事、ないよ…!』

もう、反射的に。
彼のそんな顔が見たくない思いだけが、大きく、声に成ったみたいに。


そんな音が、レストランに木霊していけば、

「…!そう、か…。」

少し驚いたような顔から、あの柔らかい笑顔に戻って…

そんな田中くんを見て、安心してしまう、私。



…あれ、なんだか、少し…。



…急に気恥ずかしくなってしまって、忘れていたお箸をまた動かして。
そして一口、と食べ始めれば、

「…みょうじ。
この後は…何か定められた予定があるのか?」

さっきのお話の続き…ではなくて、
提唱されたのは、今日の事。

『えっと…特に、何も…ない、です…。』

やっぱりなんだか気恥ずかしくて、
畏まって縮まって、もごごっと、田中くんは見ないで答えます。

「…そうか、ならばこのまま…貴様の刻を俺様に預けろ。
…良いな?」

ニッと、笑って。

その顔を見たらまた…頭が、ジンジンしてきます…。


だからご飯を食べる為、というフリをして、すぐに下を向いて。


こく、と頷いて、お返事するのが精一杯です。


「…良し、では…早く食べ終えろ。


…俺様とて、貴様とて…刻は有限なのだからな。」

レストランに来る前と、同じ言葉を言って。
更に更に、ニッと、不敵に笑う田中くん。



その言葉の言意までもが…
さっきと、全然違うように感じてしまうのも…

気の、せい…なの、かな?




これも…
なかなかの、難題…です…。




むむ、と考えたところで、答えは出なくて。
田中くんを伺っても、もっと頭がジンジンとしてしまうので、


謎解明の為にも、
…もう少し、彼と一緒に居てみようかと、思い…ます。


だから、

『…う、ん…。』

たどたどしくても、お返事だけは返して。



彼を少しでも待たせないようにと、
無意識に、
そして、意識的に、
お箸を動かすスピードを、速めてしまうみたいです…。








*****



相互リンクでも大変お世話になっております、茶紅覇様よりキリ番リクエストで頂きました、本当に有り難う、ございます…!
そして大変、大変お待たせ致しまして申し訳ございません内容も酷くて申し訳ございません覇王様の手料理を美味しく頂く、がリクエスト内容でしたのにご飯の描写少ない上に美味しくなさそうの三拍子(もはや諸々で千拍子)で本当にお詫びの言葉もございません(土下座×100)

ほのぼの希望でいらっしゃったので…あまり、甘く、しないように、とか思ってたんですが…ダメでした、うちの田中くんは主人公ちゃんを大好き過ぎる…これでも別案より、甘く…ない方を、選ばせて頂いたんですが…(言い訳止めろ)

それより堂々とストーカー発言してる方が問題かもしれませんね…というか若干、若干、俺様寄りな田中くんかもで申し訳ない、申し訳ない、です凹。

個人的には田中くんはお料理もそこそこ拘りを持っているかと考察されるところなので、男料理の代表的なぶっ込み系は無いかな、と…。
でも小洒落た感じもあまりなく…で、和食イメージに落ち着いたところです。
…ぶっちゃけ鍋奉行様なんじゃないかと考察しています(急にどうした)

それに致しましても、酷薄な内容で心苦しい限りですが…ほんの少しでもお読み頂きました皆様に楽しんで頂けましたら幸いです。
この度も貴重なお時間を割いて頂きまして、本当に有り難うございました!

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