誰かに聞いた怖い話
62話…保健室19
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『それでですね、その場に居合せた先生方の何人かが、直ぐに保健室へと行ったんですけど…やっぱりそこには誰も居なくて…』



『そうそう、それで保健の先生が見たと言うその子の容貌を聞いても…そんな前髪を眉毛の辺り迄垂らした女の子なんて、どの先生も思い当たる節は無いって話しですよ…』

彼等は酒の力もあったのでしょうか?

自分の知ってる噂話を、相手より詳しく話す事に夢中になっていたのです



『へぇ、そうなんだ…それでその養護の先生は、その後どうしたのかな?』

私は重ねて尋ねました



『確か、その幽霊話が起こった後で、学校を辞めたそうですよ』

『何でも学校を辞める少し前には、酷いノイローゼ状態だったみたいで、一度なんかは風呂場で手首を切って、自殺未遂を謀ったって話です…』



『…』

私は此の時、彼等が何故昔の話について、そんなに詳しく知っているのか…気になったのです



『ねぇ、随分その当時の事を詳しく知ってるわね』

私の心に芽生えた疑問に対する答えは、意外なものでした



『あぁ、それなら簡単な事ですよ』

口の周りを生ビールの泡だらけにしながら答えたのは、体育の先生だったのです

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あきゅろす。
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