誰かに聞いた怖い話
・・・身近な恐怖(壱)4
.
『どれどれ…あぁ、こりゃ酷いな、これは多分上の部屋で水を溢したな』
彼女は管理人さんを伴って、彼女の部屋の天井の染みを見てもらっていた
天井の染みは彼女のいない間も、益々広がりを見せていました
『これは補償の話を含めて、上の部屋に住んでるお医者さんに、話して置かないといけないね』
『管理人さん、上の階の人ってお医者さんなんですか?』
『えぇ、そうですよ…ほら、何て云ったかな…テレビでもちょくちょく宣伝してる整形外科の…』
『へぇー、そうなんですか』
『どれどれ、それじゃあ、ちょっと注意して来るから』
管理人さんはそう言うと、部屋を出て行こうとしました
『管理人さん、私も一緒に行って良いですか?』
この時彼女は、上の住人に一言文句を云うつもりでした…けれども心の奥では、この件でお金持ちと知り合えるチャンスだと云う気持ちが、全然無かったとは言い切れませんでした…
でも…その邪な気持ちが、これからの彼女の人生に一生暗い陰を落とす事になるとは、彼女自身知るべくも無い事でした…
『じゃあ…一緒に行きましょう、きちんと弁償させますから、心配しないで私に任せて下さい』
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!