誰かに聞いた怖い話
・・・疑惑から疑心へ4
.
『えっ?』



『だからさぁ、大学を卒業したら…君は何をするつもりなの?』



『…』

彼の投げ掛けたその質問は、私にとっては答え難いものでした

私には友人である彼等にさえも内緒にしている、人には知られたくない秘密があったのです

勿論、人間誰しも自分の心の奥底に仕舞い込み、人には知られたくは無い秘密の一つや二つは持っている筈です

けれども、私の抱える秘密とは…



『…無いよ…特には何も…今は色々試したい、そう思ってはいるけれど…』

今の私に答えられるのは、此の言葉のみだったのです

その言葉とは裏腹に、私に残された選択肢は極限られたものでした

その定めから逃れうる方法は、片手でも余る程少ないものだったのです

そして、その一つは既にもう…





『……んなのが好みなんだい?』



『…』



『おぃ!どうした…?又、人の話を聞かずに別の世界に行ってたのか?』



『えっ?』

昔の悲しい出来事を思い出し自分独りの世界に浸っていた私は、病院長の息子の言葉によって、暗く肌寒ささえも感じる此の場所へと引き戻されていたのでした



『…ごめん』



『まぁ良いさ、いつもの事さ』

[前頁へ][次頁へ]

4/96ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!