誰かに聞いた怖い話
・・・古都12
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『今迄…?』
『うん、そうだよ…もうすぐ夕方だよ…皆、心配してたんだよ』
『そうだったんだ…そう言えば、あの切り通しでファインダーを覗いていた時に……それにしても、一日も寝ていたのか…心配かけて…ごめん』
『……夢を…』
『夢?』
『うん…夢を見ていたんだ…』
『そう言えば、さっきから随分とうなされていたね、それで…どんな夢なの?』
『それが…昨夜…いや、違った…もう一昨日になるのか…あの晩君から聞いた話なんだ』
『僕から?』
『うん…切り通しで起こった、騙し討ちの…』
『そこで僕は、その夢の中では、不思議な事に、子供になっているんだよ』
『そして…僕の前で皆が…僕を逃がそうとした皆が……な、変な夢だろ』
僕はさっき迄見ていた夢の話を、枕元に座って僕を見下ろしている友人と、友人の家族達に話したんだ
『…』
『やっぱり…変な夢だと思うよね…笑ってよ』
その時僕は、少しも表情を変えずに、じっと僕を見下ろす彼等の眼に、何か禍々しい気配をひしひしと感じていた
『そんな事は…無いさ、全て…事実なんだからな…この時をずっと待っていたんだよ』
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