誰かに聞いた怖い話
・・・白い乗用車6
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『その男はその良い香りが気にはなったが、その場の気配に耐えきれなくなり慌てて車に乗り込むと直ぐに走らせたそうだ…』

『そしてその車中では益々香りが強くなった様に感じられて………でも、決して厭な匂いじゃ無い…懐かしい香り……』

『男はいつの間にか、その香りに安らぎすら覚えていたそうだが…やがて通夜の行われている家が見えて来た頃、何の気なしにルームミラーを覗き込むと、ルームミラーの端の方に白いワンピースを来た女の子が映っているのが見えたんだそうだ。』

『本来ならば、ここで驚く筈なのだが……何故かその時は不思議だとも、怖いとも思わなかったって事だ…』

『そしてその女の子が、今晩通夜の行われている家の娘さんだと気付いた時………ちょうど車がその家の前に到着した…』

『男は車を停めてから恐る恐る後ろを振り返って見たが、後ろのシートに座っていた筈の白いワンピースの女の子はおろか、誰一人そこには居なかったんだそうだ……』

『男は何かの見間違いだったのかと思って、車から降りようと前を向いた時…何の気なしに覗いたルームミラーの中には、男の顔の直ぐ後ろに少し青白いが美しい女の子の顔が浮かびあがっていたんだそうだ』

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あきゅろす。
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