誰かに聞いた怖い話
・・・白い乗用車2
.
『車にひかれたんだから、窒息死じゃ無いんじゃん』

友人の質問に答える彼…



『実は検死の結果だと…車と衝突した時には死んでいなかったんだそうだ、車のスピードもたいして出ていなかったみたいだし…足を骨折した程度だったらしいんだ』



『じゃあ、何故?』



『さっきも言ったように軟らかい田んぼの土が、クッションの役目をしたんだそうだ…』

『けれども、その娘にとって不運だったのは、足を骨折した事と車の下敷きになってしまった事なんだ…』

『想像してみろよ…足を骨折している激痛と…車が身体の上に乗っているのに、下にある軟らかい土のせいで押し潰されない苦痛……でも、じわりじわりと車と共に田んぼの中に沈んでいく恐怖………そして、口から鼻から流れ込んで来る泥水で声も出せずに、呼吸も出来無くなっていくのを気絶する事も出来ずに体験する苦しさ………』

『その娘にとって不運だった事は、まだあるんだよ……』

『それはドライバーが気絶してしまっていた為、助けを求めても誰にも気付いて貰えずに亡くなる迄の時間を、たった一人で過ごさなければ成らなかったんだ…』



『結婚間近だったのに…可哀相に……』

[前頁へ][次頁へ]

23/93ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!