誰かに聞いた怖い話
・・・中古車8
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『その姉さんって、アメリカのカントリーソングが好きなんじゃないのか?』



『あぁ、良くわかったな…知り合いか?』



『いや、僕の知っている曲の中に出て来る歌詞に「木になった果実」って有るんだよ…』



『そう言えば、私もどういう意味かわからなかったんだけど…君ならあちこちに住んでたからわかるんじゃないか?』



『そうだよ、僕にも教えてよ』



『…実は、話してる俺も良く知らないんだよなぁ』



『いいよ…この歌詞はね、白人にリンチされて縛り首にされた黒人の仲間が…自分達の不遇を悲しみながら唄った歌で、木にぶら下がった黒人の死体を果実と例えた…悲しい歌なんだよ』

『侵略と殺戮の歴史か…人間って何なんだろうな…一番怖いのは、やっぱり生きてる人間なのかな?』

この質問には、誰も何も答えられなかった…



『じゃあさ、その姉ちゃんが、帰り道で体験した話の続きをするぜ』





細い道路の左側は深い林で、右側には氏神様を祀る小さな神社がありました…

間の悪い事に、丁度そんな場所で急に車が動かなくなったのです…



『どうせ動かなくなるなら、彼が居る時にしてよ』

私は独りぼっちでした…

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あきゅろす。
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