誰かに聞いた怖い話
・・・ビーチの夜2
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声のした方向を振り向いた俺は、逆光に佇む友の姿をそこに認めて、思わず綻ぶ自分の顔に気付いていました
『何でバラバラなんだろう?』
俺の隣り迄近付いた彼は、少し口を尖らせてもう一度そう吐き捨てました
そうなのです
何故だか理由は分かりませんが、俺達が泊まる宿は別々でした
それは俺達だけではありませんでした
仲の良い友達同士のグループは、必ずと言って良い程まるで別々のグループに分けさせられていて、余り親しくない者達が同じ部屋に泊まる事になっていたのです
ですから、会話がそれ程弾む事も無く、夕食の終わった後も何か、しらーっとした雰囲気が部屋の中に漂っていたのでした
…どうせなら、仲の良い者同士を一緒の宿にしてくれれば良いのに…
…あーぁ、彼奴は今頃何をやってるんだろう…
…でも、何で内の学校は、林間学校じゃなくて海なんだろう…
『おい、もうそろそろ消灯時間だぞ!早く布団を敷いて、寝る準備をしろよ…次に回って来た時に起きていたら、明日の自由時間を減して勉強させるからな』
勿論、そんな事は嘘でした…嘘でしたが…俺達は慌てて、押し入れから布団を引き出したのです
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