誰かに聞いた怖い話
・・・屋上から3
.
『ごめん…攀登り始めたって言うのは、少し語弊が有るかも知れないな』

旅行好きな彼は、自分の発言を訂正したのです



『?』

それを私達は、黙って受け入れました



『その子が攀登り始めたのは、屋上を見上げる僕でも分かったんだ…けれども、ほんの瞬きをする程の時間に、その子は金網を乗り越えると外の狭い空間に金網を背にして立って居たんだよ…そして、その子を見上げる僕の目の前で、その子は前に…何も無い空間に前のめりに倒れ込んで行ったんだ…』

『僕の居た保健室の窓辺から、その子が落ちる筈の場所とは数十mは離れている筈でした』

『だから、その子が落ちて地面に激突する音が…地面に落ちる迄のその子の叫び声が…僕の耳にも、聞こえて来ない筈が無いよね?』

『でも…そのどちらもが、僕の耳には届かなかった…届く筈が無いんだよ!誰も地面に、落ちては来なかったんだからね…僕は一旦飛び出そうとした保健室に、止どまったんだよ…』

『僕の通う小学校に噂される…七不思議の一つを思い出して…給食費が無くなった時、あらぬ疑いを掛けられ仲間外れにされた生徒が、身体の具合が悪いから保健室に行くと嘘をつき、あの屋上から…その霊が今でも…』

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あきゅろす。
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