誰かに聞いた怖い話
・・・学校の怪異6
.
……
勿論返答がある事を期待してはいなかったとは言え、しーんと静まり返った音楽室は不気味な雰囲気を湛え…俺はその場から表へと、走り出したかったのを覚えている
けれども、俺はそうしなかった
いいや、正確に言えば出来なかったんだ
薄暗い放課後の音楽室に突如響いたピアノの音が、誰によって鳴らされたモノなのか…それが知りたかったからだ
けれども、俺は直ぐに後悔する事になる
自分の溢れんばかりの好奇心の為に、あんなモノを目撃してしまうなんて…
……
ポロン…
俺の問い掛けに対する返答も無く、続いて鳴る事も無かったピアノに対して、俺が一瞬気を抜いた瞬間…又もや静まり返る音楽室に、ピアノの和音が鳴り響いたのだ
やはり俺の聴き間違いでは無かった
ピアノの音は、確かに音楽室の中に響き渡ったのだ
丁度俺の位置からでは、ピアノの前に座っている人間は、残念ながら見る事は出来なかった…
丁度陰になる位置だったのです
だから俺は、怖い物見たさから…足音を忍ばせて、ゆっくりとピアノの方へと近付いたのです
ギィ…
それは俺の足元の古い床板の鳴き声でした
[前頁へ][次頁へ]
[戻る]
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!