誰かに聞いた怖い話
・・・火の玉4
.
『山の裾の田畑に適さない土地に作られたその場所とは、此の辺りの人達がその生涯を終え安らかに眠る墓地だった』

『先に言った様に、その当時の田舎では火葬にせずに土葬にする場合が多かった…』

『そして土葬にした場所の事を、こんもりと盛り上げられたその形から土饅頭と呼び、簡単に他の部分とは見分けがついたんだ…埋葬された当初はね』



『当初?』

サーファーの彼は聞いたんだ



『そう…埋められた直ぐには、こんもりと盛り上げられた土も、中の木で出来た棺桶が段々と朽ち果て…同じく締め切られた狭い空間で、棺桶と同じ時間を過ごして来た仏様の上に、ぼそっぼそっ…って落ち始めると…段々と盛り上がりが低くなり…最後には何処に仏様が埋められているのか、村の長寿の老人か寺の住職しか分からなくなってしまうんだよ』

『そして棺桶の四つ角など崩れ難い場所の下側は、ぽっかりと空洞になっている場合が多かった』

『その日、父親の怒りを恐れ、山の上の遊び場から勢いよく駆け降りて来た彼は、一見平坦な場所でその空洞を踏み抜き足を取られて…数メートルも転がり落ちたんだ』
『そして彼は、何処かに頭を打ち付けたのか…気絶してしまったらしい』

[前頁へ][次頁へ]

4/95ページ

[戻る]


第3回BLove小説漫画コンテスト開催中
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!