誰かに聞いた怖い話
・・・火の玉3
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『その日、僕の祖父は学校から帰ると、学校の友達と一緒に祖父の屋敷の裏手に迫る裏山へと、分け入って行ったんだ』

『勿論小さな頃から毎日の様に通い慣れた道で、彼等が道を間違える筈も無く、自分の家の庭の様に知り尽くした場所だったそうだ』

『ただ…ただその裏山の一画だけは、祖父達悪ガキの集団でもわざわざ避ける様に、いつも遠回りをして通らなかった…』

『けれども、父親から言い付かった用事をすっかりと忘れていた彼は、仲間達に別れを告げると麓の屋敷に続く山道を、一人で駆け降って行ったそうだ…まぁ、祖父の父親と言うのが、昔の武士の成れの果て…とでも言うのか、とにかく約束事には煩い人で…それが守られていないと、例え小さな子供でも遠慮容赦無しに叱り付ける…今の時代には信じられない程、厳格な父親だったんだ』

『だから…いつもは避けるその場所を、祖父はもうこれ以上は出せない…そう言う速さで駆け降りたんだ…でも、それがイケなかった…そこを通り抜けてはイケなかったんだ』



『何でだよ…って言うか…そこってどんな場所なんだよ』

そう尋ねたのは、サーファーの彼でした
そして彼は、それに答えたのです

その場所の事を…

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あきゅろす。
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