誰かに聞いた怖い話
・・・待ちぼうけ3
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彼は備え付けの冷蔵庫から二本目のビールを取り出すと、新月で月明りの差し込まない窓辺へと移動して、窓外の街の明かりを眺めていたのです

それは何処かの企業の商品の宣伝をするものだったり、よからぬ遊びに更ける場所であったり、温かい家庭を包み込む明かりも有ったかも知れません

そんな明かりの一つ一つに思いを馳せながら、彼は手にしたアルミ缶を握り潰したのでした

そして彼はベットに戻ると、ビデオの続きをぼんやりと眺めていたのです

そんな彼の思考は、アルコールの力のせいなのか…ゆっくりと動きを止めたのでした





『?』



どの位の時間が過ぎたのか定かではありませんが、彼は何か聞き慣れない物音で眼を覚ましたのです



そのすっきりしない頭に一番最初に浮かんだものは、恐怖や訝しいと言う気持ちでは無く、さっき電話で呼んだ女の子が部屋に来てシャワーを使って居るんだろう

その程度の浅はかな考えだったのです

そう…此の部屋の鍵など、当然その娘が持って居る筈も無いのに…



彼はその時、そんな矛盾点には全然気が付かなかったのでした



そして彼はずっと待ちました

その女の子が風呂場の方向から現われるのを…

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あきゅろす。
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