誰かに聞いた怖い話
・・・角膜移植8
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『それにしても…そんな奴が犯人じゃあ…』

最初に言葉を発したのは、旅行好きな彼でした



『全くだぜ、誰も信じられなくなっちまうぜ、本当に…』

『うん、同感だな』

その彼の言葉に、友人達も賛意を示したのです



『…』

そして私も、無言で頷いていました



…まさか、犯人が彼女の事を知っていたなんて…



…まさか、そんな職に就いてる人間が殺人鬼だったなんて…



私の心は、信じられない思いで一杯でした



けれども、それは間違いではありませんでした

やっと視力を取り戻した彼女の身の上に、確かに起こった出来事なのです



『でも、此の話を聞いた時は僕もびっくりしたよ…そんな偶然があるなんてさ』

『しかもだよ、その秘密が他の人に知られなければ、まだ犯人は捕まっていなかったかも知れないし…』

病院長の息子は、話し続けました



『そうだよな、たまたまその喫茶店で、犯人の知り合いがお茶をしていたなんてな…しかもその看護師の顔を見知っていたとは…凄い偶然だよな』
そう少し興奮気味な声音で喋るのは、燃え盛る焚き火に一つ薪を投げ入れた、サーファーの彼でした



『まさか…病院の…』

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あきゅろす。
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