誰かに聞いた怖い話
・・・角膜移植5
.
その人物が誰なのか、彼女には全く心当たりはありませんでした
…と言うよりも、彼女からは黒いシルエットにしか見えなかったのです
けれども、その夢は…その日だけではありませんでした
次の日も…その次の日も続いたのです
『彼女が夢の中に出て来るシルエットの男について知ったのは、それから1週間後の事だったそうだ』
『彼女は余りにも続く、そのリアルな夢に悩み…その夢を見る様になったのが、手術の後からだと気付いたんだよ…それで、もしやと思ってその病院を訪ねたんだ…そして規則をたてに中々教え様とはしない医者を前に、彼女は食い下がった…』
『…』
私達は彼の口元に視線を這わせ、彼の言葉を待っていました
『彼女は漸く知ったんだよ…その夢の秘密を…いつ迄も諦めない彼女に、医者は兎も角看護師が内緒で教えてくれたそうなんだ』
『幾度めかの来院の帰り道、彼女は家への帰り道で彼女を待っていた看護師に、その話を聞いたんだよ』
彼女に角膜を提供したドナーは、事故や病で命を落としたのではありませんでした
彼女は何者かに殺されたのです…
彼女は生前、臓器の提供をも希望しておりましたが…
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