誰かに聞いた怖い話
・・・ビーチの夜23
.
『わっ!』

俺は反射的にその腕を振り払い…?

彼女の手を掴むと、元来た道を駆け戻ったのです

右手にはしっかりと棒を握り締めたまま…





『何かの見間違いだろ』

付き添いの先生の内の一人が、俺に向かってそう言いました



『丁度お前達が出発した頃、あそこで生徒達の事を脅かしていた幽霊役の先生が、少し調子に乗り過ぎて転んで怪我をしてな…だから、お前達が行った頃には、あそこには誰も居なかったんだ』

その先生は俺達にそう言うと、さも忙しいといった感じで…もう俺達には見向きもせずに、他の生徒達の方へと行ってしまったのでした



…でも、さっき俺はあそこで…



…俺の右手首を掴んだあの手は?…



…いや、あの時俺には見えなかった…



…何かに手首をグイッと掴まれた、そんな痛みと冷たさを感じた…気がして…





『結局その時は分からなかったんだ…俺が目撃したモノは全て幻覚…俺の見間違い…勘違いだと、俺は俺の心の中に仕舞い込んでいたんだ…ついこの間迄』

サーファーの彼は、話をそう締め括ったのでした



『良くあるよ…人間ってさぁ、自分に都合の悪いモノは、中々見ようとはしないから…』

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