誰かに聞いた怖い話
・・・ビーチの夜18
.
その夜…度胸試しに参加する俺は、他の参加者達と共に昼間遊んだビーチへと向かっていた

真っ暗闇の中、砂浜に寄せる波…崩れる波の音だけが木霊する、そのビーチの一画に俺達が集まる場所があったのだ



その場所とは、海水浴場沿いの狭い道路を照らし出す街灯の明かりに、ひっそりと浮かび上がる一画だった

そこに集まり座って待っていた俺達に、教師達から幾つかの注意事項と共に懐中電灯が手渡され、くじを頼りに決められたペア同士が、一組ずつ砂浜を囲む一方の岬へと送り出されて行ったのだ



そして数分後…俺の順番が来たのだった



…さっきのは…



…俺の見間違いか、それとも…



…いや、確かに一番後ろに座って居たのは…



…でも、俺の記憶には無い顔だった…



『まぁ良いや!次は俺の順番ですよね』

俺は砂に塗れたジャージを払いながら、その時出来る精一杯の笑顔と言葉遣いを教師に向けて、自分の相手が決まるのをぼんやりと待っていたのだ





その娘の事は知っていた

知ってはいたが、特に親しいと言う間柄では無く…むしろ廊下で擦れ違っても挨拶を交わす事すらない…そんな程度の関係だった





『ねぇ…』

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