誰かに聞いた怖い話
・・・ビーチの夜17
.
『俺はその写真をじっと見つめている内に、その写真に写っている人物を見知っている事に気付いたんだ…』



『待てよ、その写真の人物は…とうの昔に亡くなっているんだろう?』

車好きな彼は、サーファーの彼の話を遮ったのです

そして更に続けました

『お前が知ってる筈が無いじゃん…卒業写真にも載って無いんだから…接点が何も無いだろ』



私達は待ちました

彼がどの様な返答をするのか…

私達を納得させる答えを、果たして彼が出せるのか…私達はただ黙って待ちました



『彼奴が海に来て居ないと分かったあの日の夜、俺達は希望者だけを集められて、近くの洞窟へと肝試しに出掛けたんだ』

『もっとも洞窟とは言っても、それ程深いモノでは無く…学校の教室の半分程の広さで…勿論、穴自体も直ぐに行き止まりに成り…さほど危険な事は無いと思われていたんだ』



『肝試しか…夏の定番だね、百物語と共に…』

そんな私の小さな呟きは、折からの強い風にかき消されて、友人達の耳には届かなかった様子でした



『その洞窟の入口付近には、以前は柵が設けられていたらしく…その名残の太いけれど朽ちた柱が…二本並んで立っていた…』

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あきゅろす。
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