誰かに聞いた怖い話
・・・ビーチの夜16
.
『どう分かったんだよ』



『うーん、言葉にして説明するのは難しいけど…後から考えると、顔立ちや立ち居振る舞いの全てのみならず、あの笑い声さえも…彼奴とは違っていたんだ』

そして彼は、折からの強風に飛ばされた焚き火の炎の燃え滓が、カップの液体の表面に浮かんでいるかも知れない…そんな些細な事には全く関心を示さずに、カップに残る液体を飲み干したのです



『俺はもしかしたらと思って、図書室に保存されている卒業生の卒業アルバムを見てみたんだ…勿論例の事故死した生徒が、どんな顔をしていたのかが知りたかったんだ…けれども、無かったよ…当たり前だよな、卒業して無いんだからな』

『でも…何であの時、俺は彼奴と間違えたんだろう…此の間の集まりの後に貸して貰った、文化系の部活のスナップ写真の一枚に写っているその人の顔は、俺の友達の顔とは全然似ても似つかない顔をしているのに…』



『!』

サーファーの彼の話が不意に途切れた時、私の頬に何か冷たいモノが当たった様な気がして…私は頬に手をやると共に、反射的に空を見上げていました

けれども、そこには雲が早く流れ過ぎ、今にも降り出しそうな暗い夜空しか見え無かったのです

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