誰かに聞いた怖い話
・・・ビーチの夜13
.
『何で林間学校や学校迄憑いて来たのか…学校側の調べで分かった事では、その海で亡くなった生徒には居なかったそうなんだ』



…何が居なかったんだろう…

此の時の私は、そんな初歩的な事を考えていました



『その生徒は余り身体が丈夫ではなくて、昼休みに皆が運動場でサッカーやドッジボールをして遊んでいても、独りぽつんと教室の窓から羨ましそうに外を眺めている…そんな子だったんだ』



『寂しかったのかな…多分その子…寂しかったんじゃ無いのかな?』

そうしんみりとした口調で呟いたのは、病院長の息子でした

彼は実家の仕事柄、身体の弱い子の話を…悲しい話を沢山聞いて知っている筈でした

だから尚更、しんみりとした口調になったのでしょう



いいえ、彼だけではありませんでした

此所に居る私の友人達は、何かしらの悲しい体験をしていたのです

普段は決して見せない彼等の心の奥底のほんの一部を、私は初めて知ったのです

此の人里離れた山中の静かに湖畔にある…此の小さなキャンプ場で…





『それで、何故臨海学校が再開されたのかだが…実は、お不動様の御使いと呼ばれるお婆さん、此も霊能力者なのかな…その人の…』

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あきゅろす。
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