誰かに聞いた怖い話
・・・ビーチの夜8
.
俺達二人は、そのままそこで、取り留めの無い話を続けていました
でも、その話は…そのどれもが未来の話でした

勿論、未来とは言っても千差万別で、遠くは俺達が歳を取り杖を突く頃の話や、近くは2か月後に行われる大会の事とか、新しく始まるテレビの番組の事など、多岐に渡ったのです

けれども、そのどれもが未来の話でした

普通ならば、あの時は楽しかったなとか…昔の話が少しは出ても良さそうなのに…



そして彼奴は小一時間も居たでしょうか、不意に帰ると言い出すと自分の宿へと戻って行ったのでした





『次の日…彼奴は姿を見せなかった…合同のオリエンテーリングにも、自由時間にも…彼奴は姿を見せなかったんだ』



『まさか!死んだのか?』

それは車好きな彼の一言でした



『もしかしたら…昨晩の内に…何かあって…』

これは旅行好きな彼の言葉でした



『それとも、日射病とか熱射病とか…それで宿で看病されていたとか…』

それは病院長の息子の言葉でした



『…』

そして私は、彼に何も尋ね掛けませんでした

私は彼の言葉を待ったのです

彼が再び話し始めるのを…待ったのです



『実はな…彼奴は…』

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