誰かに聞いた怖い話
・・・歌詞の秘密2
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私達との住む街とは違って、山間の湖沿いにある此の場所でキャンプをするのには、未だ時期が早過ぎたのでしょう

それでも昼間は湖畔を賑わしていた観光客も既に去り、此の山間の湖畔のキャンプ場には、私達五人と家族連れの四人だけしかおりませんでした



いいえ…私は、私達以外の何者かの存在を、ずっと肌で感じてはいたのです

それは私には…





彼の囁く様な歌声は焚き火のはぜる音に半ばかき消され、その残りも私達の周りの闇に吸い込まれて、それ程遠く迄は届かなかったのに違いありません

そして事の成り行きを見守る私達の前で、旅行好きの彼は切り出したのでした



『此の歌っておかしくないかい?』

そして彼は一人一人を見回した後、更に告げたのです



『此の歌を聞いていて、皆は変に思わなかった?』



『いや?』

『子供の頃から知ってる歌だから、別段何も…』

『何かあるのか?早く説明してくれよ』

旅行好きの彼の質問に対して、私の友人…仲間達は答えたのです

しかしそれは旅行好きの彼の予想に違わず、いたく平凡な在り来たりな答えでした



『実はな、日本中で米や粟、そして稗や蕎麦等の穀物が不作の時に……』

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