誰かに聞いた怖い話
・・・疑惑から疑心へ2
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『彼は今頃、何処ら辺を走っているのかな?』

私はサーファーの彼の後ろ姿に向かって、何の気なしに問い掛けたのですが…彼の耳には私の言葉が届かなかったのか、彼は何も無かったかの様に歩き出したのです



『おい、丁度俺もトイレに行こうと思っていたから…俺も一緒に行くよ』

サーファーの彼の後ろ姿に声を掛けたのは、車好きの彼でした

そして彼は立ち上がるなり、彼の後を追ったのです



『君が行くんじゃあ、此の話は一先ず中止だな…じゃあ、僕もトイレに行って置こうかな…君はどうする?一緒に連れションでもするかい?』

そう私に問い掛けながらゆっくり立ち上がったのは、旅行好きの彼でした



『そうだな…私も……あれっ?君は行かないのかい?』

ちろちろと燃える赤い炎を見つめ、薄い煙りを立て燃え燻る燃えさしの枝で、その場の地面に何か書き込みながら座り込む病院長の息子に気付いた私は、彼にそう尋ね掛けたのです



『僕は皆が戻って来てから行くよ』

けれども彼は、そう短く答えるのみでした



『何故?一緒に行こうよ』
『そうだよ、一緒に行こうぜ』

その場に未だ居た私と旅行好きの彼は、重ねて彼を誘ったのですが…

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あきゅろす。
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