誰かに聞いた怖い話
・・・百人浜7
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『問題になってる歌は母親への感謝の歌、そしてその歌と一緒に作り出した続きの歌が、此の話の元になっている砂浜近くの岬の歌だよ…』

サーファーの彼は、諦めた様に説明を始めたのだった



『へぇー、そうなんだ』



『…』



『全然知らなかったよ、良い勉強になったよ』

彼の言葉を何の躊躇いもなく信じた私に、彼は尚も続けたのでした



『嘘だよ…』



『嘘?』



『そんな事は、俺が知る筈が無いだろ…』

彼のその言葉は、私には信じられないものでした

いつもはこんな事を言う彼ではないのです

普段の彼とは違う何かを、私はひしひしと感じ取っていたのでした



『何でそんな嘘なんて…』



『そんなに怒るなよ、お前が心配なんだよ、彼奴も俺達も…お前は人を信用し過ぎるから…』

私の怒気を含んだ口調に気付いたのだろうか、車好きの彼が私達の会話に割って入って来たのです



『そうだよ、彼も悪気があった訳じゃ無いよ…人を信用するのは大事だけど…君には、もう少し慎重になって欲しいのさっ、人間に対しても…それ以外のモノに対しても…』



『?』



『そうだね…僕達には、もう…そんなに……』

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あきゅろす。
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