誰かに聞いた怖い話
・・・三毛猫12
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『…と云う事は、貴方は信じているんですね…その世界を』
マスコミ関係者の尋ね掛けに彼は頷きながら、最後にこう言い残して席を後にしたのだった
『私は信じている、けれども警察の組織としては、誰もが納得する説明をしなければ成らないだろう…だから、貴殿方マスコミも利益だけを追求するんじゃなく、物事の裏に潜む事実を明らかにして下さい』
さっき迄、焚き火の炎をゆらゆらと揺らしていた風が、少し収まった様子だった
それと共に、踊る様に揺らめいていた私達の影も、後ろの闇に真っ直ぐに溶け込んでゆく
『看護師さんの話だと、それから間も無く、猟奇的な犯行の裏に潜むミステリー…って見出しで週刊誌の記事になったそうだよ』
『その中で、さっき話した対談も載っていたそうだけど、記事を書いた人が補足した事例があったんだ』
『その中には、子供の居ない夫婦が可愛がっていた猫が、やっと授かった赤ちゃんを妬んで喰い殺した事例や、それとは逆に火事の時に赤ちゃんをくわえて助け出した事例等が、幾つか載っていたそうだよ』
『それと…残された三毛猫の事も書いてあったんだ』
『死んだ三毛猫は、三毛猫には珍しい牡だったんだよ』
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