誰かに聞いた怖い話
・・・三毛猫10
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『そんな日々が暫くの間続いたそうだが、ある日突然、昔の様な温厚な人柄に戻って…彼の事を心配していた近所の人達も、彼が立ち直ったんだと安心したそうなんだ』



『そうですか…でも、彼は何故あんな事を?』



『そこなんだよ、誰も彼が事故で亡くなる迄知らなかった事なんだけれど…彼はその当時から、例の日記をつけ始めていたんだよ』



『それじゃあ、そんな昔から…』



『そうなんだ、もっとも当時は毛皮を剥いだり、剥製にはしていなかったみたいだけれど…それに専ら夜に行っていたらしい』

『獲物を剥製にしたりしだしたのは、十年くらい前に市の生涯学習の推進の為に開かれた、魚拓や魚の剥製製作の体験教室に入校してから以降みたいだね…それ以降書物を買いあさって独学でね』



『そんな事があったんですか…でも、本当の所はどうなんですかね?』



『本当の所?』



『えぇ…その猫が本当に殺したんですかね…例えば、赤ちゃんの顔の上に乗って窒息させたり…とか』

マスコミ関係者はマイクを向けながら、そう聞き返していた



『さあ…それは誰にも…ただ…』



『ただ、何なんです?』



『おかしな事があるんだ』

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あきゅろす。
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