誰かに聞いた怖い話
・・・迎えに来るもん7
.
『テントがどうしたんです、先生?』



『テントが叩く様に揺さぶられて…外から男の声が!』



『!』

『まさか…』

『もしかして友達が…』



『…帰って来たんでしょ、友達が』

先生の押し殺した様な話し方に、ひんやりと張りつめたその場の空気を払う様に、委員長の冷ややかな声が響いたのでした



『なぁーんだ、わかっちゃったか』

『確かにそれは友達だったよ…でもな…』



『…でも?』

委員長の小首を傾げる様なその仕草は、何処か成熟した女を感じさせ、心成しか先生の顔が赤く染まった様に感じたのは、私だけだったのだろうか…



『じゃあ、続きを話すぞ…』

ちらっと彼女の方を見た先生は、自分を見つめる彼女の視線を感じて、慌てた様に話を再開したのです





『テントが激しく揺さぶられ、外から彼奴の慌てた様な声が聞こえて来たんだよ』





『おい!開けてくれ!指が上手く動かなくて、チャックが開かないんだ!』

急に降り出した冷たい豪雨で、全身ずぶ濡れになった彼奴が外にいる

『先生は、3つのファスナーを急いで上げて、彼の事をテントに引っ張り込んだんだよ』



『あー、ひでぇ雨!』

[前頁へ][次頁へ]

67/97ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!