誰かに聞いた怖い話
・・・アーチ9
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何故、風呂場なのか…
何故、部屋の中がこんなに暗いのか…
その不自然さ…にである
『痛っ!』
その時僕は、廊下の端に積まれていた雑誌と覚しき束に躓き、嫌と云う程…左足の小指をぶつけてしまったのだった
『どうしたの!早く来てよ!』
けれども、小指の痛みに顔をしかめている僕の事など、彼女は少しも気にも掛けずに僕を急かしたのだ
『…』
この時僕は、彼女の声に感じ始めた異常な雰囲気に、少し嫌な予感と嫌悪感を覚えながらも、仕方なく痛む足を引き摺りながら、暗い廊下を再び歩き出したのだ
『?』
僅か数mの暗い廊下を、左手で壁を触れながら歩く僕は、不意に現れた壁の無い空間と、窓から差し込む風俗店の色取り取りのネオンの明かりで、先輩の部屋を確認していた
その先輩の部屋の中は、窓から差し込む光のせいか、僕の瞳が暗闇に馴れ始めたせいなのか、思ったよりも明るかったのを覚えている
そして僕は、そのネオンの淡い瞬きの灯の中に、先輩の姿を見付け出していたんだ
先輩は、ソファーの背もたれに両腕を掛ける様な格好で、深々とソファーに身体を沈め、ぐっすりと眠っているみたいだった
『先輩?』
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