誰かに聞いた怖い話
・・・アーチ3
.
『こんばんはー』
……
『…おかしいな、先輩…まだ帰っていないのかな』
時刻は既に、夜の9時は回っていただろうか…
その日僕は…数日前に連れて行ってもらった、海水浴場でのスナップ写真を受け取りに、先輩のお宅へ伺う事になっていた
けれども、職に就いている先輩は、毎日多少の残業があり帰宅時間も定まらずに、毎日の帰宅時間はどんなに早くても、夜の8時過ぎにはなってしまうそうだった
『先輩、こんばんはー』
僕は少し諦めつつも、再度暗い部屋の中へと声を掛けてみたんだ
………
けれども、暗い部屋の中からは、返事は返っては来なかった…
『やっぱり留守か…どうしよっかなぁ』
『…よし!ここに居てもしょうがないから、近くのコンビニで立ち読みでもして来るかな』
そう独り呟きながら、アパートの2階の廊下を歩き始めた僕の後ろで、ギィーと軋みながらドアが開いたのだった…
先輩の住むアパートは、僕の通っている学校を挟むような形で、僕達兄弟の家とはまるで正反対の方角にあるのだった
その為僕は、その日は学校から家へと帰らずに、駅前のカラオケやゲームセンターで時間を潰していたんだ
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