誰かに聞いた怖い話
恐怖への序章

あれはいつの事だったか、はっきりしないが…

あの日私達5人は、山の中にひっそりと佇む湖の畔にある寂れたキャンプ場に来ていた…

それでも到着した頃には家族連れのキャンパー達がバーベキューなどをやっていて、其れなりに賑やかだったのだが段々刻も過ぎ…

辺りを賑わしていた子供達の歓声や、犬達の吠える声などが聞こえ無くなった頃には、既に夕闇が辺りを包み始めていたのだった…

比較的に標高の高い土地のせいか虫の姿が少ないのは嬉しいが、少々寒いのが玉に瑕である

その日は私達の他のキャンパーは、家族連れの一組だけのようだった

私達は食事を済ませると、缶ビールを片手に焚き火の傍の思い思いの場所に腰を落ち着かせ、取り留めの無い話をしていたのだが…

いつしか友人の一人がいつにも増して無口になっているのに気付き、私は友人にこう尋ねたのだった…



『おい、どうしたんだ…何かあったのか?』



『…』



それでも友人は一言も答えない…

暫くの沈黙の後に、私が更に友人に声を掛けようとするのより一足早く、友人は缶ビールを一口あおると小さな声で話し始めた…

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