誰かに聞いた怖い話
・・・悲しい結末8

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『空襲のあった晩、主人は訓練を受けていた基地にはおりませんでした』

『奇遇な事に…主人の配属された小隊の上官と云うのが、私共の隣の町の出身者であり、以前に主人の援助を受けていた者だったのです』

『その為に多少の融通は効いた様で、その日も皆の用事を済ます為に、町へと出掛けていたそうです』

『もっとも余り公には出来ぬ為に、基地の宿舎にいる事になっておりました』

『その為…基地が空襲に遭い多数の死傷者が出る中、町中への爆撃で傷を負い…意識も無いまま病院へ運ばれた主人の事に気付く者は無く、基地への空襲により戦死したとされていたのです』

『……主人は生きて戻って来たのです、それなのに…』

先生は……先生の中にいる奥様は泣き崩れてしまいました



『…』

私達は掛ける言葉も見付からずに、暫くの間そのまま待っていたのです





『主人は私を責めませんでした…これも運命だと…』

暫くして先生は落ち着きを取り戻し、続きを話し始めました

『主人のその言葉で、私は決心したのです』

『私は翌日主人の起き出す前に…彼女と…主人の子供の二人が眠るお墓に向かい…その墓前で…嫁入りの時に持参した守り刀を胸に…』

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