誰かに聞いた怖い話
・・・告白10
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『その娘には、将来を誓いあった男性がいたの…』



『それじゃあ、やっぱり無理矢理に…?』



『アーッ!先輩こそ、そんなにはっきりと!』



『私は良いの…たまになんだから』

『それで、先生?』

私は膨れっ面をしている後輩を無視して、先生に話の続きを尋ねたのです



『無理矢理では無かったそうよ、彼女はいつも名主の妻の身近にいたから、なかなか子供の出来なかった妻の辛い立場を知っていたの…だから、その男性とは別れて…名主の妻の為に名主の元へ……』



『可哀想…二人で駆け落ちしちゃえば良かったのに!』

不意にそう言い放った、一番年若い後輩の憤慨している姿が、いつもの大人しい彼女の姿とは違って珍しく、私の心に深く刻みつけられたのです



『そうね…今ならそう出来たかも知れないわね…でもね、その当時はそんな事をしたら大変よ、本人達も…親族達も…』



『先生、それじゃあ、その男性は?』

『名主を恨んでいたんじゃないですか?』

『そうですよ、どうしたんです?』

友人達が先生に問掛けました



『その男性はね…娘が名主の元へ行って直ぐに、故郷から姿を消したそうよ…そして数年後に娘は…』

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あきゅろす。
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