誰かに聞いた怖い話
・・・告白4
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『あの時…私の左手首を掴んだ男の子の顔も、本当は見たんです…お風呂の中で先輩に聞かれた時には、見ていないって嘘をついたんですけど…本当は見たんです…私』
『先輩には嘘をついてて、すみませんでした』
『でも…あの時は、本当の事は誰にも言わない方が良いと…そう思ったんです』
彼女はそう言って、私を見詰めました…そして彼女の話は続きます
『私も、最初の内は普通の子供だと思ってたんです…でも違いました』
『その子の顔は血の気が無くて蒼白く…視線はどこを見てるのか…私にはわかりませんでした…それにあの頭の傷痕…』
その時、もう一人の後輩がはっとした表情をしたのを、私は見逃しませんでした
『ただ、あの時言った様に、物凄い力でした…』
そう言うと彼女は話を止め目を瞑り、急に左腕の袖を捲り始めたのです
『見てください…』
袖を肘の上辺りまで捲り上げた彼女は、その白く細い腕を私達の目の前に差し出したのです
『!』
『あっ!』
『!』
驚きの余り声を失った私達の瞳には、彼女の腕にくっきりと浮かび上がった、小さな赤い痣が映っていました
まるで…真っ赤な紅葉の葉か、火傷の傷痕の様な…
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