誰かに聞いた怖い話
・・・胸騒ぎ3
.
『兄ちゃんの…知り合いなの?』



『えぇ、そうよ』

『私の彼とあなたの兄さんがサーファー仲間なの、あなたとも一度会ってるのよ、私が彼に連れられて…湘南の海に観に行った時にね』



『そーなんですか?』

でも…僕には思い当たる伏しは、全然無かった…



『それでね、本題に移るわね…あなたのお兄さんの事で、あなたに話しておきたい事があるの』

『これから大学の正門側の、小さな喫茶店に直ぐ来て…わかるわね?直ぐによ』

彼女は一方的にそう告げると、僕の返事を待たずに電話を切ってしまった

僕は荷物をバックに詰めるのを止めて、出掛ける事にしたんだ

僕にそう決心させる程…彼女の声には逆らい難い…何かがあった…

そして僕の心には、青空を覆い隠す黒雲の様に、言い知れぬ不安と胸騒ぎが広がっていった…





僕がその喫茶店に辿り着いたとき…その店にそれらしい女性客は居なかった…

店の中に居たのは、サラリーマン風の冴えない中年男性が一人と、見るからに真面目そうな学生が、小さなテーブルの上一面にレポート用紙を広げているだけだった



『騙されたのかな?』

そう独り言を呟きながらも、僕は少し待つ事にした

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