誰かに聞いた怖い話
41話…胸騒ぎ
.
『ふぅ…ずっと話してたから喉がからからだよ…』

私はそう言って、ぬるくなってしまった焼酎の水割りに手を伸ばしたのです

私の友人達も私につられたのか、各々のカップに口をつけて喉の渇きを鎮めた様です



『ちょっと一休みして、トイレに行って来るから…』

『一緒に行くかい?』

私は暗闇の中の誘蛾燈の様に、暗いキャンプ場の片隅に浮かび上がるトイレ迄、一人歩いて行くのが心細くて…友人達を誘ったのです



『俺はいいや』

『僕も…さっき行ったばかりだし』

『そうだな…僕もここで飲んでるよ』

『…』



『そっか、じゃあ…行って来るか…』

私は仕方なしに立ち上がり、歩き出そうとしました



『俺も…行くよ』

そして私達二人は、歩き出したのでした



『一人じゃ怖いのか…やっぱり……だな』

私達の後ろ姿に向かって、友人が独り言の様に呟いた言葉は、私の耳には届きませんでした

勿論…私の居ない間に交わされた…三人の会話も…





『なぁ、お前は弟の事をどう思う?』



『ん?元気だし素直だし、良い弟じゃないのかな』



『いや、そう言う意味じゃ無いんだが……まぁいいか』



『ん?』

[前頁へ][次頁へ]

29/97ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!