誰かに聞いた怖い話
・・・異変の始まり2
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………暫くの間その場の誰も喋らなかった…

私がその娘に向けていた困惑の視線を、私の隣に座っていた親友にと向けると、彼女も丁度私を見ていました…

そして彼女の瞳にも、深い困惑の色が浮かんでいたのを覚えています



『…やっぱり…ひっく…し、ひっく…信じて…くれないん…です…ね、ひっく…ホントなのに…』

その沈黙を破ったのは、新入生の一言でした



『そんな事は無いわよ、ねえ…先生にもう少し詳しく話してみて』

『いったい私が来る前に…夕食の時間に何があったの?』



『あの時…私は余り………』

顧問の先生の優しい言葉に彼女も漸く落ち着いてきたのか、ぽつりぽつりと話し始めたのでした…





私はこの宿に着いた時に感じた懐かしい感じとは又違った、不思議な……いいえ、違います…

この離れに近付くに連れて、何やら胸騒ぎがする様な…嫌な感じを受けたのです

その感じは離れに入って…玄関から続いている薄暗い廊下を見た時に、はっきりと感じたのでした…

何かが潜んでいる…何か私達に悪意を持ったモノ達が…



『何してるの、行くわよ』

その悍しい気配に足を留めていた私に、先輩が声をかけて来たのです

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あきゅろす。
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