誰かに聞いた怖い話
・・・海岸の兄弟9
.
『ええ、多分そうだと思います』

『これを見て頂けますか』

男が差し出したのは数枚の写真だった

そこには小さな男の子と、今朝浜辺で出逢ったあの従業員の男が映し出されていた



『この子よ!』
『この人です!』

俺達が同時に声をあげた……俺は従業員の、彼女は男の子の笑っている写真を見て……

でも、何かが違う…何かそれらの写真には違和感を感じる…

それらの写真を見比べていた俺は、やっとその原因に気づいたのだ…

俺は自分の考えを口に出していた…

『でも、この写真…変ですよね?』



『…変って、何が?』

彼女が怪訝そうに俺の顔を覗き込む、俺は女将さんやこの写真の2人と兄弟だと言う男にも聞こえるように説明してあげた…



『この子が海で亡くなったのが10年前だとすると、このお兄さんの方の写真が古すぎる気がするんだ……』



『えっ…それってどういう事なの?』



『この紙の具合もそうなんだが…何より今朝浜辺で逢った人……幾つくらいに見えた?』



『そういえば…私達とそんなに違わなかったと思う…』



『それだよ!10年前に働いていたんだったら、もっと年をとっている筈なんだ』

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