誰かに聞いた怖い話
・・・海岸の兄弟8
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……俺と彼女はあの岩場に、花束を手向け彼らの冥福を祈っていた…
『そろそろ帰ろうか……』
『……うん……悲しいお話しだったね…』
『……そうだな…』
俺達は、どちらともなく手を繋ぎ岩場を歩き出した…
不意に一陣の風と共に、後ろから声が聞こえて来たような気がして俺は振り返った…
けれども、そこには岩場に打ち付ける波の音がただ聞こえているだけだったが……
俺は聞いたのだ…いや…頭の中に直接響いたという方が正しいのかも知れないが、昨夜聞いたあの言葉を……
そして……
『…ありがとう』
と……
これから話すのは、俺達が岩場に花束を手向ける、2時間程前の話しである…
『…良くおいで下さいました』
俺達は女将さんに連れられて、海辺から少し山際の方に入った小さな家へと案内されていた
『こちらが、お客様方に逢って頂きたかった方です…』
女将さんが案内してくれた家で待っていたのは、赤銅色に日焼けした…、でも筋肉隆々としたのとはちょっと違う…良く引き締まった黒豹のような身体をした若い男だった
年は多分、俺達と同じか少し上に見えた…
『兄と弟に逢ったのですね?』
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