誰かに聞いた怖い話
28話…座る女
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『俺はその訳のわからない体験をした数日後に、峠で貰った使い捨てライターに書かれていた住所を頼りに、彼女の勤めるスナックを訪ねたんだ』
『その時は自分の不思議な体験を聞いてもらおうと、ほんの軽い気持で訪れただけなんだが…』
『そこで…その店で起きている霊現象と、彼女の付き合っていた男の話を聞く事になったんだ…』
『いらっしゃい、ホントに来てくれたんだ』
彼女はそう言いながら、俺の注文も待たずに少し高そうなボトルと氷を持って来て、俺の隣に座った…
『おい…俺、あんまり持ち合わせが無いぞ』
俺は少し慌てながら、彼女に耳打ちする
すると彼女は俺の耳に彼女の唇を近付けると、俺にだけ聞こえるように囁いたのだった…
『心配しないでも大丈夫よ、これはママさんの奢りよ…その代わりに…』
俺の座ったテーブルからは、丁度店の反対側にあたる席に居た艶やかな女性が、俺を見てにっこりと微笑んでいた…
どうやら俺は、何か面倒な事に巻き込まれたらしい…
『ねぇ…あなたに頼みがあるの…』
やはり俺の悪い予感は当たったようだ…
そして彼女がママさんの代わりに、その願い事を話し始めたのだった…
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