誰かに聞いた怖い話
・・・同じ道6
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慌てて前を向いた俺の目に飛込んで来たのは、眩いふたつの光だった…





『近付く光を避けようと、俺は慌ててハンドルを左に切ったんだ』

『次の瞬間俺の目には白い帯が見えたんだ…それはガードレールだった…』

『俺は無意識にハンドルを右に戻していた…』

彼はそこ迄話すと、ゆっくりと目を閉じた…





『俺は運が良かったんだ』

『車の左側の一部をガードレールに擦ったものの、対向車にも左側の立木にもぶつからなくて済んだんだ…』

『カウンターを繰り返し、道路の左端に停車した俺の車のガラスが乱暴に叩かれたんだよ…』

『運転席の窓の外には、物凄い形相をした男が立っていたんだよ』

『男の話だと俺の車が急に…本当に突然目の前に現れたそうだ…しかも現れる迄ヘッドライトの明かりが見えなかったそうなんだ、だから…何故ライトを消していたんだと、突然の出来事に放心状態だった俺に、今にも掴みかからん勢いで一方的に怒鳴り散らすと、男は行ってしまったんだ』

『でも…驚くのはこれからだった…』





気を取り直し車から降りて辺りを見回した俺だが、その景色には全然見覚えが無かった

真っ赤な月は車の前に浮かんでいた…

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