誰かに聞いた怖い話
・・・同じ道5
.
この県道に、そんなトンネルなんてあったのだろうか…?

俺の記憶には無かった…





一本道の両側には相変わらず、月明かりに照らし出されたススキの原が、風になびいて…まるで金色の海のようだった…

でも…ここは何処なんだろう…車を停めてみるか? いや、嫌な予感がする…絶対に停めてはいけない…そう俺の直感が告げていた





けれど俺は気付いてしまったんだ…ふたつの事に…

ひとつは…俺が今走っている道が、心なしか狭くなって来ている事だった…

そしてもうひとつは…



『何だアレ?』

俺の口から呟きが洩れていた

この不思議な一本道を走り続けている俺の車の、遥か後方から物凄いスピードで近付いて来る明かりがあった

最初はリアウインドから覗く月明かりかと思ったのだが…真っ赤に滲んだ月は、もう少し上にある筈であった…

次に俺の頭に浮かんだのは、猛スピードで走って来る車のヘッドライトかと思ったんだ

俺は車のスピードを上げようか迷っていた

その明かりはグングンと迫って来ている

俺が後ろに気をとられている時だった…





パッ…

俺の眼を射すくめる強い光りに、ハッとして前を向いた俺だった…

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