誰かに聞いた怖い話
・・・同じ道4
.
もうどのくらい走ったのだろうか…この不思議な一本道を…



いつから入ったのだろうか…この不思議な一本道に…



そして…いつ出られるのだろうか…この一本道から…





俺がその異変に気付いたのは、いつものように峠を下り…そしていつものように通いなれた道を、家に向かっている途中でだった…





『…変だな? こんな景色は…?』

俺の知る限りでは、こんな道の両側がススキで覆われ、街灯すら見当たらないずっと真っ直ぐの一本道なんて…存在しなかった筈だ

『いったいどうなってるんだよ…』

俺は何故こんな事になったのか、最初から思い出そうとしたんだ…





あの峠道を下った後、いつも通る県道に入る為に俺は車を左折させた…

ここ迄は間違う筈が無い…既に何十回何百回と同じ道を峠に向けて通っていたのだから…

じゃあ何処で…?



俺はその県道を西に向けて走っていた

その俺の車を赤く滲んだ大きな月が、リアウインドウから覗き込んでいたのを覚えている



『…もしかしたら』

俺の頭に引っ掛かる出来事があるにはあった…

『そう言えば…見慣れないトンネルに入ったような気が…でもトンネルなんて…』

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