誰かに聞いた怖い話
・・・同じ道3
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俺は峠の中程にある、見晴らしの良いパーキングエリアに車を停めた

そこには既に何台かの車が停まっていたが、その一台には見覚えがあった

俺は煙草に火を着けると、その車に近付いて行ったんだ





『よう、元気』



『あら、あの娘と別れたんだって?』



『おい、会って直ぐにそれかよ…』



『あはは…久しぶりね』

彼女はこの峠でも珍しい女性ドライバーだった…



『相変わらずだな…ところで、今は何してるんだ』



『何って…休んでるとこ』



『そうじゃなくて…』



『スナックでバイトしてるわ、今度おいでよ、特別に2割増にしてあげる』



『ハァ…何で割増なんだ、本当に変わんねぇなぁ…』



『うふふ、冗談よ♪冗〜談♪』

『本当においでよ、サービスするからさ、それに…面白い話があるんだ、ここにいるからさ』

彼女は俺にスナックのライターを手渡しながら、何やら意味深な言葉を耳打ちした



『おぅ、じゃあ今日は帰るわ、どうも調子が悪いから、じゃあまたな』

俺は彼女にそう告げると、いつもの道を帰る事にしたのだった

ふと見上げた満天の星空に、赤い満月がぽっかりと浮かんでいた…

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あきゅろす。
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